2017年04月28日

悲惨な老後(老後破産)から抜け出そう

おじいちゃん他人事ではありません。

現役時代に、会社の利益追求のため 結婚してからは家族の生活費を得るために精魂を尽くして働いたにもかかわらず、老後の生活が豊かではない…という時代です。

退職したが、住宅ローンが残っているため生活が苦しいという人も多くいます。

若い時にリストラに会い、満足な老後資金の準備ができていない人もいます。

万策を尽くしても生活が成り立たなくなったら、日本国民として 堂々と生活保護を申請し安定した生活を営む権利があります。

そうならないためにも 警鐘として 下記を参考にしてください。

悲惨な老後(老後破産)から抜け出そう

 

 テレビ、週刊誌、本などで「老後破産」がたびたび取り上げられています。

老後破産」とは、高齢者が生活保護基準より低い収入で生活している状態を指し、高齢者世帯の約4割が老後破産状態にあります。

一人暮らしの世帯の半数が低収入で、そのうち3分の1の人が生活保護を受けており、残り3分の2の高齢者が老後破産の状態にあるようです。

 

 これらの人々は、定年退職前には「自分が老後破産するとは考えたことも無かった」と言います。

会社員として定年まで働き、退職時には2千万〜4千万円の貯蓄があった人もいます。

 

 では、どうして老後破産になってしまったのでしょう。

原因は主に四つ挙げられます。

 

 第一の原因は、年金が生活費より少ないことです

平成27年(2015年)度の国民年金の月額は、満額で65008円、夫婦2人で1316円です。

これでは生活できません。この金額は子世帯と同居することを前提に決められたものです。

今後さらに年金額は減り、年金から引かれている健康保険料、介護保険料は値上がりするため、生活はますます苦しくなります。

 平成26年の高齢無職夫婦2人の平均的な収入は17638円、それに対する高齢無職夫婦2人の平均的な生活費は23248円で、約6万円足りず、生活するのは大変です。

そこで、足りない分を補うために貯蓄することが必要になります。

夫婦2人で3000万円あれば老後の生活費は賄えると言われていますが、それでも老後破産してしまう場合もあります。

 

 第二は、医療費の使い過ぎのケースです

預貯金がかなりあっても、先進医療や健康保険が適用できない自由診療を受けることによって、お金を使い過ぎないことが大切です。

自由診療は全額自己負担になるため、あっと言う間に医療費が数百万円になってしまいます。
老後の生活費を計算し、ゆとりが無い場合は健康保険が効く医療を受け、高額医療には高額療養費制度を利用して支出を抑えることが必要です。

 

 第三は、子供の借金の返済を負担するケースです

交通事故を起こした、会社が倒産したなどの理由により、子供が借金を負うことがあります。

子供は大変な生活をするかもしれませんが、若いのでなんとか自力で頑張ってもらいましょう。

 子供が作った借金は、子供が自分で返済するのが基本です。

資金にゆとりがある場合は別ですが、年金生活でゆとりが無い場合は、援助し過ぎると自分の老後が破綻してしまいます。

 

 第四は、定年を過ぎても住宅ローンが残っているケースです

年金収入だけでは生活費にも足りないので、ローンなど払っている余裕はありません。

定年までに払い終わるようなローン設計をしないと、老後破産確定です。

 

 それでは、老後破産しないためにどうすべきでしょうか

対策は大きく三つあります。

 

1. 住宅ローンは退職するまでに払い終わる計画を立てる

 退職金をあてにして住宅ローンを組むのは間違いです。

年金だけで十分老後の生活を維持できるなら、退職金をどのように使ってもよいでしょう。
しかし、老後の生活に退職金が必要だと考えるなら、ローンの残額を退職金で払うことを考えないことです。

無理な返済計画を立てないようにしましょう。

 

2. 退職するまでに、老後生活に必要な金額を貯蓄する

 現在50代の人の3人に1人が貯蓄ゼロと言われています。

老後生活費の総額− 年金収入の合計額 = 必要貯蓄額」です。計画的に貯蓄をしましょう。

75歳くらいまでは働けるかもしれませんが、それ以降は働きたくても体力的に働けなくなる場合がほとんどです。

そのために老後の貯蓄が必要になります。

 

3. 老後は「年金+貯蓄」の範囲内で生活する

  月々の生活費を把握しているでしょうか。

把握していない人は1カ月にいくらかかるのかを知る必要があります。

生活費と収入を比べ赤字なら、毎月の赤字分を貯蓄から引いていくと貯蓄は何年もつのか、いつ足りなくなるのかを知ることができます。

 

自宅を担保に生活資金を借りる「リバースモーゲージ」も検討

 

 貯蓄が底をついてから節約するのは大変です。

ぜひ早めに計算をして、100歳まで生きても大丈夫なように、ひと月で取り崩すことができる金額を出して下さい

最大でもその金額以上は使わないように生活を引き締めます。

 病気や介護、ケガをすることもあるでしょう。

臨時出費も考えなければなりません。

病気やケガに対して300万円程度、介護に対しても300万円程度は準備しておきたいものです。

 

 以上のことに注意して生活していても、貯蓄を使い果たし、日々の生活が成り立たなくなる可能性はあります。

そうなったら、市区町村社会福祉協議会に相談に行きましょう。


高齢者の8割くらいは自宅を持っており、自宅を担保に生活資金を貸す制度が利用できます。

 厚生労働省は、200212月に「長期生活支援資金貸付制度」をスタートしました。住民税非課税程度の低所得世帯が対象です。

自己所有の居住不動産(マンションは対象外)を担保に、土地評価額の70%を上限として月30万円までの生活資金を貸してくれます。

元本および利子の返済は、利用者の死亡時まで繰り延べられます。

 

 上記の自宅を担保にお金を貸す制度を「リバースモーゲージ」と言います。

「リバース」とは「逆の」、「モーゲージ」とは「住宅ローン」という意味です。

通常の住宅ローンが最初にお金を一括で借り、月々返済していくのに対して、リバースモーゲージは月々お金を借りて、最後に一括で返済するので、このように呼ばれています。

 リバースモーゲージは、民間の銀行(東京スター銀行、三井住友信託銀行、群馬銀行、西武信用金庫など)や
住宅メーカー(旭化成ホームズやトヨタホームなどが自社物件保有者に対して)も取り扱っています。

 

高齢で働けず生活に困ったら、生活保護を堂々と申請すべき

 

 自宅がなかったり、借地に家が建っていて、自宅を担保に「長期生活支援資金貸付制度」を利用することができなかったりする場合は、生活保護を申請しましょう。

 憲法第25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない
」と規定しています。

 これを受けて、生活保護法第1条では「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、
その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする
」としています。

 国民は、最低限度の生活を保障されているので、生活保護基準より低い収入での生活を強いられることはありません。

高齢になって働くことが困難な状態に陥り、生活に困ったら、堂々と生活保護を申請しましょう。

 現在、2人世帯では月18万円くらい、1人世帯では12万円ほどを「生活保護基準額」とし、年金との差額を支給してもらえます。

医療費も無料になります。

高齢者に必要な扶助としては、生活扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、葬祭扶助などがあります。

 老後は体力、知力が落ち、不安な気持ちになります。

その上、満足な食事も取れないとなると、生きているのがつらくなってしまいます。

 しかし、生活保護費の範囲内で暮らすことができれば、生活の不安はなくなり、老後破産にならずに済みます。

 

藤村 紀美子(ふじむら・きみこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)、宅地建物取引主任者

 

 立教大学文学部卒業後、結婚。
2女をもうけたのち、借地問題を契機に法律を勉強したくなり、中央大学法学部へ。
卒業後、各種試験勉強を経て、ファイナンシャルプランナーに。その直後、夫の赴任で米国サンノゼ(シリコンバレー)へ。
8年間滞在中、現地の生活を通して医療、健康保険、税金、不動産取引、基本的な生活の日米の差をつぶさに体験。
2007年帰国。
経験を踏まえ、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。

 現在は高齢期に関しての住まい、お金の問題を中心にセミナー、執筆、相談を受ける。高齢になり、自由に動けなくなってから、もっと早く高齢者施設を探せば良かったとおっしゃる高齢者の方々のお声を聞くにつけ、早めの高齢者施設見学をお勧めするとともに、自らも高齢者施設の見学を積極的にする。
相談したのは幸運だったと言っていただける度にFPになって良かったと思っている。


Posted by tomato1111 at 00:00