現役時代、パンダの中国・四川省にサービス拠点を設立することになり、その下準備のために単独で四川省へ出張したことがありました。
北京空港から中国の国内航空に乗り換えて、四川省成都に入りました。
管理人は、仕事の記憶よりその地で食べた料理・食事の記憶が鮮やかに残っています。
その日も現地企業幹部との打ち合わせを終え、四川省街中の比較的大きな食堂で食事の接待を受け、円卓を囲みました。
メイン料理は 四川省が発祥の地とも言われる名物の「火鍋」。
(参考:フグ中毒(韓国出張の想い出))
現役時代、パンダの中国・四川省にサービス拠点を設立することになり、その下準備のために単独で四川省へ出張したことがありました。
北京空港から中国の国内航空に乗り換えて、四川省成都に入りました。
管理人は、仕事の記憶よりその地で食べた料理・食事の記憶が鮮やかに残っています。
その日も現地企業幹部との打ち合わせを終え、四川省街中の比較的大きな食堂で食事の接待を受け、円卓を囲みました。
メイン料理は 四川省が発祥の地とも言われる名物の「火鍋」。
(参考:フグ中毒(韓国出張の想い出))
火鍋は、丸鍋の中央を「陰陽」に見立てて仕切られておりその丸鍋の中に、白湯(パイタン)と呼ばれる白濁のスープと、
唐辛子や山椒など調味料を沢山入れた辛い味付けの紅湯の麻辣スープの2種類を別々に入れて煮立て、好みの食材を好みのスープに入れて煮て食べるものです。
スープが沸騰してから、肉や魚、キノコ、野菜など各種食材を入れて煮ます
四川の人はこの四川火鍋を好んで食べるのは気候と関係があります。
年中、太陽が見えない日が多くて、また、成都平原の湿度が高いので、辛いものを食べると、汗が出て、気持ちよくなるというのです。
日本人のわたしには、辛い味付けの紅湯の麻辣スープは、辛いものが好きなわたしにも辛かった記憶があります。
これを食べていたとき、店員がわたしの目の前に、料理皿を差し出しました。
この瞬間、円卓を囲んで食事をしていた中国人が、一瞬、箸の動きを止め、一斉にわたしのほうに目を向けているのに気が付きました。
皿の上には、黒く煮込まれた直径1.5〜2.0cmくらいで長さが5cmくらいの円筒形をしたものが4〜5個置かれていました。
その雰囲気とそれを見た瞬間、わたしには ピンとくるものがありました。
蛇(へび)料理です。
蛇をそのまま輪切りにして、形を崩さないように煮込まれたものでしょう。
わたしの出張の使命は、商談です。
大事なお客様の接待を受けていると認識していた自分は、顔色変えず、何事もなかったように そのけったいな料理に箸をつけ、口に運んで食べました。
黙ってわたしの食べ方を見ていた相手は、少し時間をおいてから
『今食べたものは何だかわかりますか?』と聞いてきたので、
『名前はわかりませんが、多分、四川省の名物料理の一つでしょう?美味しかったです。』
と答えると、一同の顔色がほころび、
『それは蛇を使った料理です。あなたは四川省を理解してくれました』
と一気に座が明るくなりました。
(思えば日本の自衛隊でも 野外での長期訓練では、山野にある動植物を食べることがあると聞いたことがあり、動物性食料が手に入らなければ蛇も食べると聞いたことがあります。)
一通りの食事が済もうとしたときに、座の幹部が
『わたしの後についてきてください』と言う。
席を立ち、一度食堂の外に出て、食堂の裏に連れていかれました。
何とそこには、首の上下に板で仕切られ木の檻(おり)に入った生きた猿がいました。
檻の数は、20個以上はあったでしょうか?
幹部は、
『あなたは四川省の料理を食べてくれたので、仲間です。最高の料理である猿を食べませんか?この中で、気に入った猿がいたら教えてください。』
と言うではありませんか!
これは猿脳(えんのう)と言い、食料または薬餌としての猿の脳味噌を食べるもので、特に中国の高級珍味とされています。
猿は生きたままの状態で、その脳が露出した頭部をボウルとして使うように食卓の下に置かれ、脳をすくい取って食べるのだそうです。
わたしの短い人生で、生きた猿を食べるという経験はありません。
食堂の裏に入った時から、そこにいたおよそ20匹の檻に入った猿が 一斉にわたしのほうに向き、言葉には出していないが
『どうか、わたしを食べないでくれ、殺さないでくれ!』と、悲痛な訴えをしているような気がしていました。
いくら大事な商談で接待を受けていて、わたしを最大級のもてなしで歓迎しようと考えているであろうが、わたしは、気まずそうに
『今回は、お断りします。何故なら、わたしは日本の干支(えと)で 猿年生まれです。何故かここにいる猿が他人のような気がしないのです。
お気持ちは嬉しいですが、ごめんなさい!』と断りました。
当たり前ですが、日本の肉屋に並んでいる牛肉や豚肉、鶏肉も、生きた動物だったのです。
生きた猿を食べてはいけないという理由はないでしょうが、生きた猿に目の前で刃物を当て食べるという行為はわたしにはできません。
その翌日の夜、今度は四川省の「麻婆豆腐」をご馳走しようということになり、四川省での元祖陳さん麻婆豆腐のお店に連れて行ってくれました。
あまり天井の高くない50人くらいが入れるその店は、人の声が聞こえないほどのがやがやと騒々しい賑やかな中国語の会話が飛び交う
むんむんとした人いきれのする食堂で、食べているのは これまた辛い、真っ赤な色の麻婆豆腐です。
メニューには麻婆豆腐以外はありません。
何とか人で埋まった店内で空席を見つけ、それこそ世界の麻婆豆腐の元祖・本店 陳さんの麻婆豆腐を食べる貴重な機会を得ました。
現地の味付けには慣れていないわたしには、山椒や唐辛子などの調味料がいっぱい入って真っ赤な麻婆豆腐は、ただひたすらに辛かったという記憶があります。
額から噴き出すように汗が流れ出てきました。
帰国してから「本場の麻婆豆腐の味がどうだったか?」と聞かれますが、辛いもの好きな管理人にとっても「味をうんぬんするよりも ただ辛かった」という記憶しかありません。
日本の赤坂に日本で初めて麻婆豆腐を紹介し広めた 陳さんの中国四川省料理店があり、そこの麻婆豆腐が有名ですが、そこの原点はこのお店だと聞きました。
中国では 四本足の椅子以外の生き物は、なんでも食べると言いますが、その食に対するすさまじさには 驚きです。
やまざる
川崎市黒川(当時の住所表示)の農家に生れる。
来世も菩提寺である黒川の西光寺で、永遠の眠りにつく。
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