2015年11月08日

やってはいけない「自己流」マイナンバー対策

マイナちゃん200いよいよ個人番号・マイナンバーの「通知カード」が届き、そして来年1月からマイナンバーの利用が開始されます。

マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会基盤を実現する社会基盤』と内閣官房のホームページでは示しています。

公平・公正な社会の実現」「行政の効率化」「国民の利便性の向上」の三つがあげられています。

お役所の仕事が楽になるのが第一であり、わたし達の生活が豊かになればよいシステムであれば良い考えていますが?
そのマイナンバーについての興味深い記事がありましたので、ここに転載いたします。
 マイナンバーキャラクター「マイナちゃん」(左図)


ダメ絶対! やってはいけない「自己流」マイナンバー対策

PRESIDENT 2015112日号

今後、マイナンバーに紐づくサービスが拡大されれば、扱われる個人情報も当然増えていく。

国民にとっては、利便性の向上にともなって、不安感も増していくことになるだろう。

しかし、制度の仕組みをよく知らないまま、付け焼き刃の「自己流対策」をするとロクなことがない。


ある税務署職員が、警鐘を鳴らす。

「来年は多くの無申告者が慌てて確定申告をするでしょう。

でも、副業の水商売で年間800万円稼いでいる女性が確定申告をすれば、税務署は『去年も同じくらいの副収入があったのでは』と疑います。

そして、5年間さかのぼって調査をする。
結果的に(住民税や健康保険料を含め)過去数年分の追徴課税が発生し、莫大な出費に焦ることになるかもしれません」

確定申告が「やぶ蛇」になることもあるというのだ。


いっぽうで、個人番号を勤め先に届け出れば、無申告が発覚しやすくなるのもたしか。

「これまで大丈夫だったから」と高をくくるのも得策とは思えない。

しかし、税理士の井出進一氏は、「理由なく闇雲に勤め先への個人番号の届け出を拒否するのは、効果的な自衛策ではない」と助言する。

「副業かどうかに関係なく、届け出は個人の義務ではありません。

また、不都合な事情がなくても『他人に自分のことを知られたくない』と感じるのもわかる。

ですが、勤め先に個人番号を知らせても、パスワードさえ知られなければ、勤め先は何ひとつ情報を引き出すことができません。

それなのに頑なに届け出を拒めば、『何か後ろめたいことがあるのだな』と思われますし、税務書類などへの従業員の個人番号の記載は勤め先にとっては義務。職場での関係悪化は免れないでしょう」


ちなみに、理由もなく他人の個人番号を取得したり、それを使って個人情報にアクセスしたりするのはマイナンバー法違反となり、個人情報保護法よりも重い罰則が科せられる。
悪用の意図があれば別だが、勤め先が個人番号から個人情報にアクセスすることはまずないだろう。

そんなことを心配するよりは、「不要な場面で個人番号を知られないよう個人番号カードにカバーをかける、推測しやすいパスワードにしない、パスワードをマメに更新する、などの対策を講じたほうがよほど効果的」(井出氏)というわけだ。



マイナンバーの危険は3年後一気に高まる

では、我々は求められるままに(必要であれば)個人番号を提供すべきなのか。

そんなことはない。

前出の税務署職員は「預貯金口座への番号登録だけは警戒したほうがいい」と語る。

個人番号と預貯金口座との紐付けは、2018年から開始される。

今のところ番号登録は任意だが、政府は21年を目処に義務化を検討している。

つまり、個人番号の登録をしないと、新規口座を作ることも、既存の口座を利用することもできなくなるということだ。

「これは完全に税収を増やすための政府の方針といっていいでしょう。

口座のお金の流れさえわかれば、『全貌が把握できない』という理由から贈与税や相続税を取りはぐれることもなくなりますし、不正な入出金も捕捉できる。


今のところ、誰であっても理由なく個人情報を見ることはできないので『国に口座を監視される!』とまで思いつめる必要はありません。

でも、いざ『怪しいな』と目をつけられれば、脱税の証拠が見つかりやすくなるのです」

とはいえ、一般的な会社員は脱税などとはほぼ無縁だ。


それでも前出の税務署職員は、「私なら預貯金口座への個人番号の登録は、任意のうちはしません。

義務化されるギリギリのところまで保留にして、様子を見る」と言う。

口座内のお金の流れは、誰にとっても「個人情報の中でも特に知られたくない重要な情報」であろう。

それを政府がどのように利用するつもりなのか、本当にセキュリティに問題はないのか、できる限り長い期間見守るのが、もっとも有効な自衛策になるというのだ。

「任意であっても、新規口座を開設する際に『個人番号を要求されて断った』となれば、その記録が残ります。

今後必要になる可能性があるなら、確実に個人番号を要求されない年内に新規の預貯金口座をいくつか開設しておくといいですよ」(前出の税務署職員)