2013年06月13日

濡れぬ雨

           濡れぬ雨』(ぬれぬあめ)

 -----------------------松風のこと-----------------------

雨とハート
みなさんは、「濡れない雨」と聞いて、どんな雨を想像するでしょうか。

昔の人は、松風の音を聞いて、雨を連想したようです。

 かげにとて立ちかくるれば から衣

                  ぬれぬあめふる松の声かな〜 (紀貫之)

 ですから、『濡れぬ雨』とは、松風のこと。


時雨(しぐれ)の音になぞらえて、「松風の時雨」などともいいました。

古来、松風の音は、大変好まれてきた音です。


茶の湯では、お茶のたぎる音を松風と呼び、琴の音も、松風にたとえられてきました。

松の梢を吹き渡ってくる風の音……。

人は、その音を聞きながら、さまざまなもの思いにふけったのでしょう。

たしかに、心を落ち着かせてくれるような気がします。

そして、すがすがしい気持ちにさせてくれる風です。

大地に潤いは与えませんが、心を潤してくれる雨といえるかもしれませんね。

 

 発行者:夢子 こと 山下 景子

 『センスを磨き、幸せを呼ぶ〜夢の言の葉〜』(週刊)