2012年05月10日

美人のたとえ…芍薬⇒牡丹⇒百合

970[1]近所のおじさんの家に立ち寄ったところ、庭に美しい“牡丹(ぼたん)”の花が咲き誇っていました。

牡丹の花は古来、日本の美人を例えるのに「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」(たてばしゃくやくすわればぼたんあるくすがたはゆりのはな という言葉があるほど、美しい花の代表格です。

しかとご覧ください!

庭の“牡丹”の花の隣には、芍薬(しゃくやく)の花が植えられていたが、まだ蕾(つぼみ)で今月末ごろに見ごろになります。


牡丹3牡丹














なぜ美人を芍薬・牡丹・百合にたとえるの?

 ALL ABOUT で三浦 康子さんは、次のように解説しています。

  (大変わかりやすいので、一部を引用します。)


昔から美しい女性のことを「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」と表現するのはなぜでしょう?

そこには、美人の本質がかくされていました。

なぜこれらの花が選ばれたのか。

その理由から、美人の本質をさぐってみましょう。


【立てば芍薬】

芍薬(しゃくやく)は、すらりと伸びた茎の先端に美しい花を咲かせます。
その香りもたおやかで、フランスではしなやかで爽やかな香りのするワインを、「芍薬のような香り」と言うそう。
姿も香りも、まさにすらっとした美しい女性そのものです。


【座れば牡丹】

芍薬も牡丹も同じボタン科なので、花自体はよく似ています。
しかし、芍薬は草で牡丹は木。
その違いから、牡丹は枝分かれした横向きの枝に花をつけるため、まるで座っているかのように見え、観賞するときも座って観賞したほうがきれいに見えます。
中国では花の王と呼ばれ、華やかさの象徴です。


【歩く姿は百合の花】

百合は、しなやかな茎の先にややうつむき加減に花が咲きます。
そして、風をうけて揺れる様子は、まるで女性が優美に歩いているように見えるでしょう。
甘い香りは香水としても人気があり、こうした花のイメージから、女性の名前にもよく用いられています。

 

ひとつひとつの花が美しいばかりではありません。
この3つの花は、リレーするかのように順番に咲いていきます。


●牡丹は4月末〜5月の初めごろ

 ↓

●芍薬は5月中旬から6月末ごろ

 ↓

●百合は6月から8月ごろ


それはまさに、座っている美人が立ち上がって歩き出すという流れにそっており、姿かたちのみならず、立ち居振舞いも美しいのです。

 

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故事ことわざ辞典


 立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花


【読み】 たてばしゃくやくすわればぼたんあるくすがたはゆりのはな


【意味】 立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花とは、美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花にたとえて形容する言葉。

 


【立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花の解説】


【注釈】 芍薬も牡丹も共に美しい花で、百合は清楚な花であることから、美人の姿や振る舞いを花に見立てて形容することば。

芍薬はすらりと伸びた茎の先端に華麗な花を咲かせ、牡丹は枝分かれした横向きの枝に花をつける。百合は風を受けて揺れるさまが美しい。

これらのことから、芍薬は立って見るのが一番美しく、牡丹は座って見るのが一番美しく、百合は歩きながら見るのが一番美しいという説がある。

また、芍薬はまるで美しい女性が立っている姿のよう、牡丹は美しい女性が座っているよう、百合は美しい女性が歩く姿のようだなど、諸説ある。

単に「立てば芍薬座れば牡丹」とも、「立てば芍薬居(とと)すりゃ牡丹歩く姿は百合の花」ともいう。

牡丹と芍薬日経240519







日本経済新聞朝刊
H24.5.19記事から転載