2012年04月12日

『桜どれ』(さくらどれ)

 --------桜が咲いて気候があたたかくなる頃の

           眠気がさしてうっとりしている状態-------------

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  ようやくあたたかくなって、桜が咲き始める頃……。

 この時期、眠くて、半ば夢見心地で過ごしている人はいませんか。

 昔は、この状態を、『桜どれ』といったようです。


 六義園枝垂れ桜鎌倉時代の辞書『名語記(みょうごき)』によると、『桜どれ』の

 「とれ」は、目がとろとろすることだとあります。

 また、眠くてうとうとすることや、うっとりすることを、

 「とろめく」といいました。

 桜を見てとろめくことから、『桜どれ』になったというわけです。

 今でも思い当たることなのに、『桜どれ』という言葉は、あまり

 使われませんね。

 「酔いどれ」「老いどれ」「食いどれ」……。

 「どれ」のつく言葉には、あまりいいイメージがないからでしょうか。

 ところで、「酔いどれ」は、「酔い倒れ」が変化したものだと

 いわれます。

 ほかの、「老いどれ」「食いどれ」なども、同じでしょう。

 とすれば、『桜どれ』の「どれ」も、「倒れ」からきたと考える

 方が、適当かもしれません。

 あでやかに咲き誇る桜に圧倒され、堪能して、花に酔ったような

 気分になる。

 花疲れの上に、折からの陽気も手伝って、つい夢見心地に……。

 きっと、それほどまでに、私たちを魅了するのが、桜なのですね。

  (転載: 夢子 こと 山下 景子

           『センスを磨き、幸せを呼ぶ〜夢の言の葉〜』)

 
   (写真:六義園のしだれ桜、管理人撮影)