2011年09月19日

『好々爺』(こうこうや)

つまずく ☆--------人のいいおやじ、やさしくて気のいい老人--------

この場合の「」は、好ましい、よい、立派なという意味をあらわす接頭語です。

好都合」「好景気」「好青年」など、今でもよく使いますね。

ですが、「」がふたつ重なるのは、『好々爺』と「好々翁(こうこうおう)」だけ。

どちらも同じ意味です。

イメージとして浮かんでくるのは、どこか、ひょうひょうとしていて、それでいて、底抜けにあたたかい笑顔……。


それにしても、「」は、本来、父親をあらわす漢字。

主人や上官、皇帝をさすときにも使われたそうです。

ですから、『好々爺』のほうは、老人に限らないのかもしれません。

とはいえ、『好々爺』と呼ばれるような味は、それ相応に、年齢を重ねた人でなければ、出ないのでしょう。

残念ながら、『好々爺』に対する女性の言葉もないようです。


たいていは、若いころの猛烈な印象と、対比して用いられるからかもしれません。

年をとって、角が取れてまるくなる……。

でも、『好々爺』でいられるのは、憂いがないからともいえます。

そんな姿を、「」をふたつも重ねて見つめてきた、昔の人々。

その思いを、これからも、受け継いでいきたいものですね。

 

 
 発行者:夢子 こと 山下 景子

  『センスを磨き、幸せを呼ぶ〜夢の言の葉〜』