2011年09月07日

『かなかな』

アニメ肝試し ☆------------昆虫・ヒグラシの異称------------

 「蜩(ひぐらし)」の鳴き声といえば、「カナカナカナ……」。

  それが、そのまま、異称になりました。

 「ひぐらし」という名前は、日暮れに鳴くところからついたといいます。

  漢字も、「」や「茅蜩」のほかに、「日暮し」とも書きました。

 ですが、朝や、曇った日にも鳴いていますね。

 木々にこだまするように響く、高く澄んだ鳴き声……。

 他の蝉(せみ)とは、ずいぶん、趣の違う声です。


 中世の和歌集では、秋の鳴く虫の中に、「」の歌を入れている例も見られるほど。

 俳句でも、秋の季語になっています。

 実際は、夏のうちから鳴き始めるのですが、たしかに、いかにも涼しげな声ですものね。

 そういえば、「かな」は、古く、詠嘆の意を添えるときに、用いられた終助詞です。

 昔の人は、思わずため息が出るような気持ちを、この言葉に、こめてきました。

 〜大方(おほかた)に 聞かましものを

     ひぐらしの 声うらめしき 秋の暮かな〜 (『源氏物語』)

 心が洗われるような、『かなかな』の声。

 この声にも、さまざまな思いが重ねられてきたことでしょう。

230822
   作者:夢子 こと 山下 景子

    『センスを磨き、幸せを呼ぶ〜夢の言の葉〜』