<風俗>
農山村ふるさとでは「おみおつけ」に「ひきわりめし」が常食であった。東(しののめ)の空白む頃、真っ先に聞こえてくるのが「すりこぎ」の音、そしてすきま風にのって漂う味噌の香り、朝晩の食卓には必ずといってよいほど「おみおつけ」が用意された。
屋敷内で栽培された露地ものの小松菜・なす・ねぎ・大根など新鮮な野菜、そして冬場は手の温みもありがたき切干、ひば(大根の葉を干したもの)、たまに油揚げが仲良く味噌汁に煮込まれる。自家製味噌に含まれた大豆、小麦の栄養素、カロリーと 共に栄養満点!
まさにふるさと農山村の老若男女みんなを育てはぐくんだありがたい「おみおつけ」――
幼児たちも訛って「オミヨツケ」と愛嬌をふりまいて吸いついた。
「おみおつけ」は「御御御附」と三重の敬語で呼び交わされ、また「御味御附」とも交わされて味の良さを誇っていた。
“ふるさとの 香りなつかし おみおつけ”