2010年12月12日

『十二月 下宿屋「四丁目ハウス」』…劇団民藝公演

12月ガイド本
黒川に活動拠点を置く歴史ある「劇団民藝」。

今年は劇団民藝創立六〇周年にあたり、その締め括り公演として『十二月 下宿屋「四丁目ハウス」』が日本橋三越本店にある三越劇場で、12月3日()から12月20日()まで開催されている。

わたしは12月11日()の公演を、心弾ませて鑑賞した。
  (左:公演パンフレット)


12月ー1350 

何より劇団民藝の舞台は、落ち着いたセピアトーン調が多くて華美な色合いは一切なく、どこか懐かしみを覚えさせてくれるところがよい。


今回も時代背景が昭和5・6年ころの東京本郷(東大近く)の賄い付き下宿屋が舞台ということで、当時のことは生まれていないので知らないが、雰囲気がよく出ていた。


出演者もキャキャと甲高い声でセリフを言うような若者でなく、渋い役者・人生経験が豊富な中高年の役者が主体であることが、芝居を見るわたしを和ませて芝居の進展に思わず引き込まれていく。

そういえば三越本店にある三越劇場も古色蒼然としていて、歴史を感じさせる劇場であり、その中にセットされた昭和初めの舞台は、どこかピッタリと合っていたと思う。

  (写真左から 梅野泰靖、奈良岡朋子、樫山文枝:写真提供・劇団民藝)




12月ー2350 
『十二月 下宿屋「四丁目ハウス」』の民藝初演は、宇野重吉演出の今から28年前のこと。
下宿屋の経営者・九城間弓を演じた梅野泰靖氏は、当時と同じ役を今回も演じた。

また下宿屋の女中・初江を演じた日色ともゑさんも、28年前の初演と同じ役を演じた。

樫山文枝さんは朽木夫人という有閑マダム役で扶可子の弟を求める気持ちを優雅に演じる。
そして何より舞台に華を添える下宿屋の経営者・九城間弓の妻・扶可子を演じる奈良岡朋子さんの存在感は凄い。

客席から芝居を見ていてもそこはかとなく漂う色気に、思わず心が動かされる感じを受けるほどだ。
畳の上で和服を着て正座し、お茶を入れたり編み物をしたりとさりげない所作が、何とも言えない色気を感じる。
資料によれば奈良岡さんにとってはこの作品が劇団民藝公演出演100本目という記念すべき舞台だそうだ。

  (写真左から奈良岡朋子、梅野泰靖:写真提供・劇団民藝)




花々1350 




思えば今年の5月2日、川崎・しんゆり芸術祭2010アルテリッカしんゆり」で麻生市民館ホールで行われた劇団民藝公演「神戸北ホテル」で主演の恋に一途な看護婦役を演じた奈良岡さんだったが、今回は落ち着いた妻役を演じた。









Xmasデコ1250来年の川崎・しんゆり芸術祭2011アルテリッカしんゆり」では、5月5日にこの『十二月 下宿屋「四丁目ハウス」』が公演される予定になっているので、多摩川を渡って東京に行かなくても地元の新百合で鑑賞できるのはありがたいことだ。


またわたしが受講している「アート講座2」では、来年の3月5日()に行われる「演劇の魅力」というテーマの講義には、講師として日色ともゑさんが立たれることになっており今からとても楽しみだ。

最後に年末のあわただしい時ではありますが、黒川でけいこをつけた『十二月 下宿屋「四丁目ハウス」』日本橋三越劇場に是非、足を運んで、生の舞台を得とお楽しみください。
12月20日(月)が千秋楽です。
 (写真:三越本店新館のクリスマスデコレーション)


<三越に因んで追記>

管理人がサラリーマンになって最初に配属された勤務場所は、第三大手町ビルだった。

東京駅・本の丸善・三越本店・大丸・皇居にも近かった。

昼休みにはよく三越本店へ足を延ばしたものだ。

社員食堂で昼食を済ませた後、先輩と三越本店の地下にある食料品売り場・お総菜コーナーに行き試食品を隅から食べ歩いて、多いものは経木にのせてもらい、それを持って三越の屋上に行き太陽の下で食べて食欲を満たしたことがよくあった。

腹が膨れると少しばかり歩いて皇居前の芝生まで行きその上に寝転がって、1時間以上も昼寝をしてからおもむろに会社へ戻ることもあった。

また会社を抜け出して、神田駅ガード下にあった映画館で、勤務中に怪しい映画を見たこともあった。

今から40年以上も前の良き時代の思い出なり。