2009年06月22日

歌劇「トリスタンとイゾルデ」

剣術ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーが46歳の時(今から150年前の1859年)に完成した大作歌劇。

歌劇の台本と作曲をワーグナー自身が担当。

上演時間は4時間を超える長編を鑑賞した。


トリスタンとイゾルデ

 

 

叔父(マルケ王)の花嫁(イゾルデ)と道ならぬ恋に落ち、行き着く果ては死」という辛く切ない、「失楽園」物語を、ワーグナーは極上のエロティックな音楽をもって描いた。

オペラという芸術が、形のない人間の情念を表現するのを目的としたものだとすれば、これは究極の作品だ。

ここにある全ての音符は「愛と死」というテーマに奉仕する。

このオペラに身を浸してみれば、日常ではそうそう味わえない身を焦がすような恋愛を疑似体験できるはず。

そのときあなたは正真正銘の「ワグネリアン」だ。

  (引用:岡本 稔氏 スタンダード・オペラ鑑賞ブック ドイツ・オペラ(下) 音楽之友社発行)

 

 

 

 

 

 

*出演者

 トリスタン(コーンウォールの騎士、マルケ王野おいの甥);ルネ・コロ(T

 マルケ王(コーンウォールの王);マッティ・サルミネン(B

 イゾルデ(アイルランドの王女);ヨハンナ・マイアー(S

 クルヴェナール(トリスタンの忠実な従僕);ヘルマン・ベヒト(Br

 ブランゲーネ(イゾルデの侍女);ハンナ・シュヴァルツ(MS

 メロート(マルケ王の家臣);ロバート・シュンク(T

*指揮;ダニエル・バレンボイム

*演出;ジャン・ピエール・ポネル

*演奏;バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団

*収録;1983年・バイロイト音楽祭公演(ライブ収録盤、246分)

 

騎士トリスタンは、伯父マルケ王の妻となるべきイゾルデと深く愛し合っていた。

この世では結ばれぬ宿命にあると知った二人は、死の薬を飲み干すが、それは侍女ブランゲーネがすり替えた愛の薬・媚薬だった。

悲劇の愛がますます深まる。

トリスタンとイゾルデは、誰からも中傷されることのない二人だけの世界が死の世界にあるとこの世を去り、天国で永久に寄り添う。

 

4時間を超える作品だが舞台の背景は実にシンプルで暗く、夜=愛=死の世界 を暗示する。

 

曲も解説書によれば、半音階的進行と転調の連続により、未曽有の官能的な「憧憬」の雰囲気を醸し出す重いもの。これが古今の愛の音楽の最高傑作と評されている。

ただ今から150年前に作曲された作品であると認識する必要がある。

鑑賞した作品は、映像盤 ポネル演出のバイロイト音楽祭ライブといういずれも解説書でも評価の高いものだった。

 

この作品の指揮者ダニエル・バレンボイムは、2009年の「ウイーンフィルハーモニーのニューイヤーコンサート」の指揮を務めた方で、今週日本へ来るイタリア ミラノ歌劇団の歌劇「アイーダ」を指揮する予定の音楽家。

 

   (参考:鑑賞した歌劇とその関連リスト