2009年04月26日

歌劇「夕鶴」しんゆり芸術祭2009

夕鶴単熱い新百合ヶ丘が始まった。

音楽の街、芸術の街など文化芸術を活かしたまちづくりを推進している川崎市にあって、その最先端を走る新百合ヶ丘で、 「川崎・しんゆり芸術祭2009」(アルテリッカしんゆり)が、4月24日(金)から5月10日(日)まで行われている。

待ちに待った日本の名作歌劇「夕鶴」を、昭和音楽大学「テアトロ ジーリオ ショウワ」で鑑賞した。


夕鶴プログラム上演に先立ち総監督の大賀 寛氏(日本オペラ協会創始者)の分かり易い作品解説が行われた。

 

それによれば、藤原歌劇団が昭和27年に初演以来全国各地で700回以上上演されているもっともポピュラーな日本オペラの名作。

設定は農耕民族の日本人・貧しい正直な農民と鶴の恩返し。雪国のシュールな幻想的な舞台設定。

抒情的でロマン的な美しさで日本人の心を歌い上げている傑作と紹介。

 

作曲:團 伊久磨

台本:木下 順二

総監督:大賀 寛

出演:

 与ひょう(村の青年):松浦 健T)

 つう(与ひょうの妻・実は鶴):佐藤ひさらS)

 惣ど(村の狡猾な男):峰 茂樹B)

 運ず(惣どの相棒):牧野 正人Br)

 児童合唱:昭和音楽大学付属音楽・バレエ教室

指揮:松下 京介

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

演出:鈴木 敬介

 

 

 

 

あらすじ(当日のプログラムから引用)

夕鶴あらすじm 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多摩川を渡って東京に行かずとも、わたし達の麻生区で本格的な歌劇が鑑賞できる「しんゆり芸術祭2009」に喝采を贈りたい。

 

歌劇上演にふさわしい1265席ある昭和音楽大学「テアトロ ジーリオ ショウワ」で繰り広げられる本物の芸術、東京フィルハーモニー交響楽団が目の前のオーケストラピットでかなでる團 伊久磨のメロディーをシャワーを浴びるがごとく聞きながら舞台を楽しむ贅沢。

 

モーツアルト、ヴェルディ、ワーグナー、プッチーニでもなく團 伊久磨の曲は、ステージの演技・衣装・照明・美術とあいまって日本人であるわたし達の心に共鳴する。

 

驚くことに若干27歳の團 伊久磨が木下 順二の台本をベースにこの「夕鶴」を作曲したというからすごい。

 

シーンの変わり目などに空から降ってくる雪のシーンがとても効果的。

 

つうが自分の羽を使って「鶴の千羽織」を織るシーンは、極めて印象的な場面。

 

つう役の佐藤 ひさら さんのアリア「あんたは私の命を助けてくれた」は、素晴らしかった。

 

今回の「夕鶴」では、日本語歌劇であるにも関わらずステージの両脇に字幕が設置されていたのはありがたかった。大賀 寛総監督の解説で、つうは標準語だが、与ひょうや惣ど、運ずの言葉は木下 順二創作の方言ということで言葉だけを聞くと理解が難しかったが字幕があり理解できた。同音異語を避けるためという。

 

この公演に先立ちさる17日に、 夕鶴」600回記念作品を鑑賞したが、あらためて新鮮な気持ちでこの700回公演を楽しむことができた。

 

先に鑑賞した600回記念の「夕鶴」(1994年制作)と今回の700回作品のステージのつくり、演出が酷似しているのに驚いた。改めてプログラムを見ると、どちらも演出家は同じ鈴木 敬介氏であることが判明した。全体のイメージ、与ひょうの部屋、囲炉裏、機を織る印象的な仕掛けがうり二つだった。

 

      (参考:鑑賞した歌劇とその関連リスト