2009年04月23日

歌劇「夕鶴」

夕鶴250誰でも「鶴の恩返し」という民話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか!

 

この歌劇は、日本の民話「鶴の恩返し」を素材に、木下順二が戯曲化したものを、團 伊久磨が27歳の時に舞台用付帯音楽を担当して作られた日本製歌劇「夕鶴」。

 

今回鑑賞したものは、1994年に600回上演記念公演ライブ録画作品で、オーケストラの指揮は團 伊久磨氏自身が行っているという素晴らしい作品。

 

(写真:つう(鮫島 有美子)、与ひょう(小林 一男):オペラガイド126選 成美堂出版から引用)


今まで鑑賞してきた外国の歌劇と異なり、素材も日本民話、歌手の言葉も日本語で外国の歌劇にはつきものだった翻訳テロップ(字幕)がないという珍しいものだった。

 

あらすじ

何時とも知れぬ昔、何処とも知れぬ人里離れた雪の中の一軒家に、仲良し夫婦が住んでいました。女の名は「つう」、実は鶴の化身です。男の名は「与ひょう」、純真な農民で、以前に傷ついた鶴を助けたことがありました。つうは恩返しに与ひょうの家に妻として来ていました。つうは自分の羽で美しい「鶴の千羽織」を織り上げて呉れていました。 (この項は、吉村 直規氏資料から引用)

 

主な出演者

つう(鶴の化身):鮫島 有美子S

与ひょう(純真な農民):小林 一男T

運ず(村の男、千羽織の仲介をした人):久岡 昇Ba

惣ど(村のこすからい男、運ずの相棒):中村 邦夫B

 

指揮:團 伊久磨1924-2001

演出:鈴木 敬介

演奏:東京シティー・フィルハーモニック管弦楽団

 

上演時間:約1時間50分

 

ごてごてした舞台ではなく、紙の雪と照明をうまく使って、印象的ですっきりとした舞台。

日本人が持つ心配り、相手を思いやる心などのメンタリティが、作品の進行とともに理解できて、いつの間にか つうの優しい・哀しい気持ちに引きづり込まれていった。

 

この作品で指揮をした團 伊久磨は70歳、主演の鮫島 有美子は42歳の時の作品。

ステージが終了すると、なんと観客席に木下順二1914-2006)(当時80歳)がいて、紹介されるというハプニングがあった。

 

国内はもとより、海外でも高く評価されて、上演した1994年で公演回数が600回(1952年開始)という純日本製の世界的な評価を受けた数少ない作品。

 

管理人のわたしは、今週末の25日に「しんゆり芸術祭2009」で企画されている昭和音楽大学 テアトロ ジーリオ ショウワでの「夕鶴」のライブを鑑賞する予定。

これもまた楽しみです。

            

           (参考:鑑賞した歌劇とその関連リスト