2009年12月13日

『頓珍漢』(とんちんかん)

----物事が行き違って、ちぐはくになったりすること----

 

 考え中1昔は、どの町にも、鍛冶屋(かじや)があって、

 「トーン、チーン、カーン……」

 と、槌(つち)を打つ音が、響いていたそうですね。

 『頓珍漢』は、その音からできた言葉です。

 まず、師匠が、「トン」。

 弟子たちが、続いて、「チン」「カン」……。

 決して、音がぴたりとは、重なりません。


 そこから、言動に、どこかずれたところがあって、ちぐはぐなことをさす言葉になりました。

 

 それにしても、うまい漢字を当てたものですね。

 「」からは、「頓狂(とんきょう)」「頓馬(とんま)」を、

 「」からは、「珍妙」「珍答」を連想します。

 そして、「」は、「男の人」と言う意味も持っています。

 

 めったに見かけなくなってしまった鍛冶屋ですが、音だけは、今も、暮らしの中に響いているようです。

 

 『頓珍漢』な言動……。

 なぜか、不思議と憎めないのは、その背後に、懸命な弟子たちの姿があるからでしょうか。

 

引用:夢子 こと 山下 景子

    『センスを磨き、幸せを呼ぶ〜夢の言の葉〜』 H19.10.18

 

(今からおよそ50年前、小田急線柿生駅近くに金物屋があって、そこでは室内に炉を切り、農家の使う鎌や鍬を鉄を叩いて造る鍛冶屋も営んでいました。
  当時、柿生中学校に通う道筋にあったので、とても懐かしく感じます。
  現在では鍛冶屋を止めていますが、金物屋は営まれています。)