2008年10月06日

良き伝統 道普請(みちぶしん)

落ち葉掃き遥か昔から引き継がれてきた道普請(みちぶしん) (現代用語では、道路清掃、川崎市では美化運動)が、10月5日(日)に実施された。

道普請とは、鎌倉時代に盛んに使われていた言葉でそれは、道とはみんなでつくり上げるものだという気持ちと、「普く請う(あまねくこう) 」という意味の禅語普請」がひとつになったもの。)

 

町内会組織とはまた別の、昔からある黒川の住民組織 講中(こうじゅう) とは神仏を祀り、または参詣するために組織する団体のことであり、講中とは講を結んで神仏に詣でる人々(連中))がベースになった班分けで、道普請は実行される。


道普請1昔の舗装されていない土の道、砂利だけの道だった時代には、雑草が道路際を占有して狭くしたり、毎日使っていると水溜まりができたり、凹みができたり、片側に土や砂利が寄ってしまったりするので、その補修作業が道普請であった。

 

そして昔の道普請は、隣近所の人たちと同じ目的の共同作業をすることによって、コミュニケーションを図る場でもあった。そのため道普請が終わると、当番が準備したぼた餅や饅頭などの甘いものを摂って疲労を回復すると同時に、酒を酌み交わして住民組織の結束を固める目的もあった

(写真:交通量の多い鶴川街道沿いにある植樹帯の草をむしる。)

 

即ち昔の道普請は、昔の人にとっては日頃の重労働を伴う農作業から開放されて、楽しい行事でもあった。

 

道普請2黒川も宅地化の波、都心勤務者のベッドタウンとして人口が増えてきており、このような道普請の意味を理解しない人が増えてきた。

 

そのような中で歴史的な意味を持つ道普請が、黒川では今も営々と引き継がれている。

 

主要な道路は舗装されているため道の修復作業は不要であるが、側帯に投げ捨てられているゴミ・空缶拾いや、雑草の刈取り・引き抜きが主な仕事になった。

 (写真:腰に草刈鎌を挿し、エンジン式草刈機で藤蔓(ふじづる)を処理する。)

 

仲間と和気あいあいと仕事をしたあとは、黒川公会堂に集結して簡単な懇親会を行う。

 

ビールやお酒を飲みながら、黒川で取れたキュウリや生姜をさかなに、普段話をする機会がない人たちと世間話に興ずるのは楽しいことだ。昔の人たちは、甘いものとしてぼた餅を食べていたが今はそれが無い。

 

これからもこのような道普請という古来からの名前と地域をまもる良き伝統は、是非絶やすことなく続けていって欲しいと思う。例えその実態が、単なる草むしりや空缶拾いであったとしても・・・・

 

(今年の川崎市の「市内統一美化運動」実行日は9月28日(日)だったが、当日は、黒川の鎮守様 汁守神社の秋の例大祭に当たったので、10月5日に実行された。)