2008年10月07日

歌劇「ニーベルングの指環」第3話「神々の黄昏」

神々の黄昏ドイツの偉大な作曲家リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)の超大作歌劇「ニーベルングの指環」。これは着想から26年を要して完成された歌劇。

序夜(ラインの黄金)(平成19年10月鑑賞)・第一夜(ワルキューレ)(平成19年12月鑑賞)・第二夜(ジークフリート)(平成20年6月鑑賞)・第三夜(神々の黄昏(たそがれ))からなる4部作。

今回鑑賞したのは、完結編の第三夜「神々の黄昏」


「3日とひと晩の序夜のための舞台祭典劇」とも呼ばれ、全体を上演するには4晩かかる(休憩を含まない連続上演時間は、16時間を越える)歌劇。

 

今回の作品のサブタイトルは、「指環の呪いが英雄を襲い、神々に終焉(しゅうえん)が」とある。

 

出演

ジークフリート(ジークムントとジークリンデとの間に生まれた若者):ジークフリート・イェザレム(T)

グンター(ライン河畔のギービヒ家の当主):アンソニー・ラッフェル(B)

アルベリヒ(ニーベルング族の小人):エッケハルト・ヴラシハ(Br)

ハーゲン(アルベリヒが人間女性に産ませた息子。グンターの異父弟(Br)

ブリュンヒルデ(ヴォータンの娘。ジークフリートの妻):ヒルデガルト・ベーレンス(S)

グートルーネ(グンターの妹。ジークフリートと結婚する):ハンナ・リソフスカ(S)

ヴァルトラウテ(ヴァルキューレの一人。ブリュンヒルデの妹):クリスタ・ルートヴィッヒ(Ms)

 

指揮ジェイムズ・レヴァイン

演出:オットー・シェンク

管弦楽団:メトロポリタン歌劇場管弦楽団

劇場ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場

製作:1990年4月

 

作品概要

タイトルの「黄昏(たそがれ)」が示すとおり、英雄が、世界が凋落(ちょうらく)していく過程のオペラ。序夜の「ラインの黄金」で全くの無から世界が始まり、この第三夜(完結編)で、炎と洪水によって何もかもなくなり、原始の状態戻るというストーリー。

(この項出典:ドイツ・オペラ下 音楽之友社)

 

既に超大作歌劇「ニーベルングの指環」は、昨年の秋から 要約編(これは全編を鑑賞すべきどうかを判断するために見たもの)、序夜(=2時間40分)、第一夜(=4時間)と第二話(=5時間)を鑑賞しており、今回の第三話(4時間40分)であり、要約編を除いても演奏時間は16時間20分にも及ぶ化け物歌劇。

 

まともにチャレンジしたら気が狂いそうなので、今回も先輩のお宅の素敵な部屋で、気のおけない3人の先輩達とワインを片手に、おいしいおつまみ(完熟イチジクと生ハム・ブルーチーズなど)をつまみながらの肩の力を抜いたリラックスムードで鑑賞した。

 

スクリーンの歌劇にあわせ、世界情勢、日本の官僚機構の問題点などを軽く話題にする。特にパキスタンの政情不安定が及ぼすイスラムの世界への影響、近隣の国々への影響に杞憂する意見が多かった。

 

これがワーグナーのオペラ「ニーベルングの指環」のストーリーと同じく、現世界の凋落(ちょうらく)に結びつく可能性についても話題になった。

 

何はともあれ、あの憧れのニューヨーク・メトロポリタン劇場のTV映像録画を意識したという舞台装置と進行は、オペラのものすごさを語る素晴らしいもの。

また指揮がこれまたジェイムズ・レヴァインで、言うことなし。

 

これで要約編を含めて5回にわたるリチャード・ワーグナーの超超大作「ニーベルングの指環」をようやく鑑賞した。

 

わたし達は作品を鑑賞しただけだが、この作品が生まれるまでに26年もの長い歳月がかかったという事実があり、今更ながらドイツ人の緻密さとその執念に敬服する次第。

 (タイトル写真:オペラガイド126選 成美堂出版