武蔵野の面影を残していた黒川の山野・田畑を破壊して生まれた はるひ野の住宅地開発。ひっそりと何年もの間 黒川の山にたたずんでいた山桜の巨木を、開発事業に携わっていた当時の住宅公団が最新の樹木移植専用重機(樹高18mに及ぶ山桜を深い根毎移植できる日本に数台しかない専用機と聞く)と工法を駆使し、細心の注意を払って、現在の「宮添みのり公園」のシンボルツリーとして移植した。その黒川地区の遺産である巨木の山桜を維持し護り、次世代に引き継ぐことがわたし達の使命である。川崎市にとっても、麻生区にとっても重要な山桜。
現在は、川崎市の公園である「宮添みのり公園」を地元管理するということで「宮添みのり公園管理運営協議会」が維持管理作業を実行・推進している。
「宮添みのり公園管理運営協議会」は、その公園の立地環境を生かして黒川地区住民の憩いの場・癒しの場であって欲しいと考え、人工的な遊具や建物・施設を造らず、おおらかな芝生と武蔵野の楢や樫の木の林と巨木の山桜で構成されている。
樹高18mにも及ぶ山桜は、「宮添みのり公園」のシンボルツリーとして大変貴重であり、近隣に住む人たちが春になって咲き誇る素朴な花を楽しみにしている人が多い。
去る4月の下旬にはこの山桜を護る目的で、「宮添みのり公園管理運営協議会」の求めに応じ川崎市北部公園事務所が桜の周囲に保護のためのロープ柵を設置した。現状のロープ柵は半径5mと樹高に比べれば極めて狭く、且つ山桜が成長するに伴い更にその範囲を広げていかねばならないと考える。
ここでこのロープ柵の必要性について専門家の意見を下記する。
1.樹木医であり森林インストラクターの先生に依れば、
樹木にとって一番大切な根は細い根。
そこに先端の枝から雨を集めて、葉で勢いを止めた雨のしずくが落ちる仕組みになっている。通常は枝の伸びているあたりまで細根が伸びていることが予想され、よく枝張りと呼ばれる範囲のこと。桜を護るためには、最低限この枝張りの範囲の外に、保護策を設置する必要がある。
2.またわたしが尊敬する樹木関連の専門家も
木の根で、水分や養分吸収で働く部分は、根の先端の細毛根の部分で、位置は地上の枝の先端部分の真下位の場所と言われている。木の保護としては、この位置を踏まれないように保護してやる必要がある。桜は、特に、根が浅い所を横這いしているので、枝先の真下を踏まれないように、注意する必要がある。
一方、有名な桜の保護柵の状況は
(1) 神奈川県の名木100選に選ばれている 長興山紹太寺の 小田原市指定天然記念物「しだれ桜」の場合は、樹高 13mであるが保護柵は約半径10mの一次柵を設置し、更にその外側に 2〜3mの二次柵を設置して保護。
(2) 福島県三春町の有名な三春滝ザクラ(みはるたきざくら)は、樹齢推定1000年以上と言われており、我国の天然記念物に指定されている。樹高12m であり、保護柵は 約半径10mの一次柵を設置し更にその外側に二次柵を設置している。(樹木芯より概ね半径30m)
結論として、「宮添みのり公園」の山桜は、理由のいかんを問わず 枯らすことなく護り育てる義務が、わたし達川崎市民にあること。
桜は根を踏まれることにより衰弱し枯れ死にいたるので、周囲を保護柵で囲い、人間の踏み付けを阻止する必要がある。更に歳を追うごとに柵の範囲を広げていかねばならない。
最後にはるひ野一丁目で平成22年5月竣工をめざして計画が進行している分譲戸建て住宅70戸の大型開発計画地内(積水ハウス・パナホーム・住友林業)に、かっての黒川地区にあった巨木のクヌギやナラの樹木が多く移植されてある。
これらも開発に携わった旧住宅公団が切り倒さずに移植・保存というありがたい措置をとった貴重な自然遺産の樹木。これらの樹木が宮添みのり公園の山桜と同様に守り育てる責任をわたし達は背負っており、この動向に大きな関心を寄せねばならない。
Posted by tomato1111 at 00:05│
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