ドイツの偉大な作曲家リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)の超大作歌劇「ニーベルングの指環」。これは着想から26年を要して完成された歌劇で、序夜(ラインの黄金)・第一夜(ワルキューレ)・第二夜(ジークフリート)・第三夜(神々の黄昏(たそがれ))からなる4部作。「3日とひと晩の序夜のための舞台祭典劇」とも呼ばれ、全体を上演するには4晩かかる歌劇。単純に上演時間だけを足すと、優に15時間以上(休憩を含まず)にも及ぶ超大作。今回は、第二夜「ジークフリート」(全3幕)上演時間約5時間を鑑賞した。鑑賞するにも覚悟を決めて、体力がなければ対応できない作品。
今回の作品のサブタイトルは、「恐れを知らぬ英雄・ジークフリートが恋をした(愛を知る)」。
出演
ジークフリート(ジークムントとジークリンデとの間に生まれた恐れを知らぬ若者)
:ジークフリート・イェザレム(T)
ミーメ(ニーベルング族の小人。アルベリヒの弟):ハインツ・ツェドニク(T)
さすらい人(実は旅人の姿をしたヴォータン):ジェイムズ・モリス(Br)
アルベリヒ(ニーベルング族の小人):エッケハルト・ヴラシハ(Br)
ファフナー(巨人族。大蛇に姿を変え指環を大事に護っている):マッティ・サルミネン(Bs)
ブリュンヒルデ(ヴォータンの娘。岩山で炎に囲まれて眠っている):ヒルデガルト・ベーレンス(S)
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
演出:オットー・シェンク
管弦楽団:メトロポリタン歌劇場管弦楽団
劇場:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場
製作:1990年4月
作品概要
何事にも屈せず、自然の中で無邪気に育ったジークフリートが、最後はヒロイン、ブリュンヒルデと出会い見事結ばれる、という絵に書いたような少年の成長物語。
登場人物はたったの7人(+1羽・森の小鳥)で、音楽も室内楽的な透明な響きがして、ほのぼのと明るく親しみやすいのが特長。大蛇を退治して、小鳥と言葉を交わして、炎の向こうには眠れる美女が待っている・・・と、これはまぎれもなくドイツの森の奥のメルヘンの世界。(この項出典:ドイツ・オペラ下 音楽之友社)
既に超大作歌劇「ニーベルングの指環」は、昨年の秋から 要約編(これは全編を鑑賞すべきどうかを判断するために見たもの)、序夜、第一夜と3回・3編を鑑賞している。
なにせ第二夜だけでも5時間を要するという化け物歌劇。
まともにチャレンジしたら気が狂いそうなので、今回も先輩のお宅の素敵な部屋で、気のおけない3人の先輩達とアルコールを片手に、おいしいおつまみをつまみながらの肩の力を抜いたリラックスムードで鑑賞した。

アルコールは、英国のシングルモルト・ウイスキー「Glenfiddich」12年もの。
独特の香りを楽しみながら口に含み、先輩達の世界観・景気動向・日本の古事記論・中国のオリンピック以降・アラブ・イスラエルの動向などを屈託なくおしゃべりしながら、偉大なリヒャルト・ワーグナーの超大作歌劇「ニーベルングの指環」「ジークフリート」をも楽しんだ。
あの憧れのニューヨーク・メトロポリタン劇場のTV映像録画を意識したという舞台装置と進行は、オペラのものすごさを語る素晴らしいもの。また指揮がこれまたジェイムズ・レヴァインで、言うことなし。
またジークフリート役は、本名がジークフリート・イェザレムと、役に打ってつけのオペラ歌手。最初から最後まで出ずっぱりの大役をこなしているのには、敬服した。
次回は最終編の第三夜「神々の黄昏(たそがれ)」をこのスタイルで楽しむ予定。
Posted by tomato1111 at 00:05│
歌劇を鑑賞して