2008年05月11日

「セレサモス」 農業経済への直接参加の楽しみ

ロゴ川崎市の中でも多くの農地や山林が残されている黒川。

黒川では、農業で生計を立てている人や、相続で引き継いだ農地にささやかな農産物を育てている人が多い。

そのような人たちが生産した農産物を、市場を通さずに消費者へ直接販売することができるルートを川崎の農協が設立してくれた。4月26日にオープンしたファーマーズマーケット 「セレサモス」 (大型農産物直売所)だ。


退職してもてあます 毎日が日曜日の空いた時間に、親が残してくれた畑でわずかな農産物を栽培して楽しんでいるわたし。昨年も畑で人参やホウレン草等を育てたが、一回も食べずに耕運機で耕してしまった経験がある。年老いた家族での野菜消費量には限りがあり、食べようという要求が起きないと、育てた野菜が人間の口に入らずに、畑の肥やしになってしまうのだ。

 

今年は違う。

JAセレサ川崎(農協)の組合員であるわたしは、「セレサモス」に出荷登録(販売委託契約)を済ませているので、老後の慰みで栽培した野菜を「セレサモス」を通して売るという楽しみができた。

 

あくまでも消費者に喜んでいただけるというCS精神(Customer Satisfaction(消費者満足度向上)を念頭において、更に農協のメンツを傷つけることが無いようにという配慮のもとで、「セレサモス」に野菜販売を直接委託するという楽しみが増えたのだ。

 

農協のガイドラインに沿って、出荷物を決め、それをどのようにパッケージし 見栄えを良くするか考え、販売する量・単位を決め、店頭での販売価格を決めるという楽しみが増えた。

 

老いた農夫でも、自分で生産したものを直接「セレサモス」に持ち込んで、自分で値決めをして販売するという画期的な経済システムへの直接参加が始まったのだ。

 

セレサモス」の店頭に並んだ農産物をお客様が購入されると、レジでのバーコード読取器で農産物が現金と交換で売れたという情報がシステムに逐一記録される。

そして販売状況がわたしの携帯電話のメールに、日に4回入電する仕組みになっている。

『「品名」「単価(わたしが設定した単価)」「販売数量・個数」「売上合計金額」』の情報が、何処にいてもわたしの携帯電話のメールに飛び込んでくる。

 

それを見て売上状況を判断し、出荷した商品の数が不足したと考えれば、更に追加出荷が行えるという仕組みで、ほぼリアルタイムで商品の動きが何処にいてもつかめる。

 

こうなるといくらぐうたら百姓でも、競争意識が高まり、売るためにはどうすればよいのか?単価を上げるべきか・下げるべきか?単位の量を増減すべきか?パッケージを工夫する余地は無いか?売れなければ明日からの出荷を取りやめて他の品に変えるべきか?・・・等々 普段使わない頭を使う楽しみが増えるという次第。

 

携帯電話のメールとは無縁の生活を送っていたぐうたら百姓の自分が、「セレサモス」に農産物を出荷したことにより、品物が売れれば日に4回のメールが入るという刺激的なことが現実的に起こっている。

 

朝 農産物を出荷したあとは「セレサモス」が閉店する夕方まで、携帯電話メールに入る売上状況が気になり、完全に大きなシステムの中に組み込まれたという感じがする今日この頃である。

 

(参考:大型農産物直売所「セレサモス」概要

(参考:グランドオープン「セレサモス」)