2008年03月22日

スイスで3分のゆで卵

ヨーデルスイス・ローザンヌの街中にホテルを確保することは、とても難しい。

ましてやヨーロッパ中の電子機器関連のメーカー・ユーザーが集結する展示会シーズンは、絶望的だ。欧州の会社は、聞くところによれば2年毎の展示会のために、ホテルの部屋を永久予約する契約になっている由。

東洋の田舎会社が勇んでローザンヌに行き、展示会会期中の部屋の申し込みをしても「booked!」と言われて断られるのが落ちである。よしんば取れても宿代は高い。


ある年のこと、レマン湖を見下ろすアルプスの中腹にあるペンションを宿にした時の話。

ウエストサイド物語の舞台ではないかと思わせる雰囲気のところにある素敵なペンション。

近くにはあの有名なカウベルをつけた牛がのんびりと草を食んでいて、何処からかヨーデルが聞こえてくるような錯覚に陥る。

 

さてペンションの朝。

当然和食は無い。パンをベースにした食事。

わたしは3分ゆでた卵を食べたくなって、口に出そうになったがそこはフランス語圏のスイス・ローザンヌ地方。

仕方なくわたしはジェスチャで説明を試みた。

まず左手の指を開き頭の上に、右手を開きお尻の後ろに持っていって、鶏の真似をした。

そして卵を産み落とすしぐさをしたところ、それを見ていた17・8歳のペンションのマドモアゼル(娘さん)は、ニコッと笑ってうなずいた。

すかさず壁にかけてある時計を指差し、右手で三を作り、腕を上下して「3」を強調して3分を示したつもりだった。

マドモアゼル(娘さん)はうなずき、意味を理解したのかキッチンへ消えた。

少し待つと、ゆで卵を載せる食器に載った卵を持ってきてくれた。

食べるとわたしが考えていた茹で加減のゆで卵だった。

 

それを見ていた同僚は、唖然として「よくやるなー!」とあきれていた。

お互い人間同士、難しい哲学の話や量子力学の話をしているのではない。単純な平凡な事柄なので何とかジェスチャで意味が通じるものだ。

 

まるっきり英語もフランス語も話せない上司が、フランス出張で粋なベレー帽を買ってきたことがある。上司にどのようにして買ったのか聞いたところ、「ニコッ」としてどんなもんだい、フランス語がしゃべれなくとも一人で買い物をしたと自慢げに言う。その時も、一切言葉を使わず買ったという。

 

デパートに行き帽子売場を探した後、その上司はジッとベレー帽を見つめていたそうだ。

すると店員がやってきて、上司が見ているベレー帽をショーケースから取り出して手に渡してくれたそうだ。おもむろにそれをかぶってみたがどこか気に入らないので首を振り、他のベレー帽を指差して交換をしてもらい購入したとのこと。

ジェスチャで何とかなるものだ。