2008年02月11日

歌劇「ペレアスとメリザンド」

女性この歌劇は、恥ずかしながらそのタイトルさえ聞いたことがなかった。

しかしよく知っている人がいるものだ。

フランスの作曲家 クロード・アシル・ドビュッシー(1893-1902)の作品で、彼の唯一のオペラ作品。

ドビュッシーが好きだという先輩は、曲が良い、映像が綺麗、録音技術も素晴らしいと、このオペラについて、褒め称えていた。


作品は、イギリスのウエールズにあるカーティフシアターのライブ収録盤。

従って出演者は、殆んど英語を母国語とするイギリス人。

しかし作品はフランス語によるフランスのオペラのため、当然全編がフランス語で演じられている。

作品の設定は、中世の架空の国 アルモンド。上映時間:2時間40分。

 

出演者

メリザンド(素性不明の神秘な若い女性):アリスン・ハーグレイ(S)

ペレアス(アルケル王の孫、ゴローの異父の弟):ニール・アーチャ(T)

ゴロー(妃を亡くした王子、ペレアスの異父兄)ドマルド・マクスウエル(Br)

イニョルド(ゴローの先妻の子):サミエル・バーキー(ボーイ・ソプラノ)

ジュヌヴィエーブ(ペレアスとゴローの母):ベネローブ・ウオーカー(A)

 

指揮:ピエール・ブーレーズ

演出:ペーター・シュタイン

演奏:ウエールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団・合唱団

 

あらすじ

ペレアス150フランス語の美しい響きと、それに融け合う精妙で幽玄な音楽が作り出す、夢のように美しくもはかない愛のファンタジー。どこまでも純粋なペレアス、弟への嫉妬心を抑えきれないゴロー、二人の間で不思議な魅力を発し続ける謎の美女メリザンド、それぞれの心の微妙な動きが、歩の暗い夜の世界に映し出される。

 

この作品は、「青い鳥」の作者として知られている『メーテル・リンク』(1862-1949)の「ペレアスとメリザンド」という戯曲を、ドビュッシーが作曲と台本を創作した。

 

ドビュッシーは、親しいショーソンの家でいつもゴーギャンの絵を見ていたが、ゴーギャンの絵のモティーフ「いず方から来たりていず方へ去る」は、ペレアスの主要モティーフである。メリザンドは深い森の中でいず方ともなく現れいず方へか消え去る。人間の存在は変転きわまりないもので、現実の生活も夢の世界のように始まりも終わりもなく、人間はただ時間の中を漂っているにすぎない。人が話す言葉も磨き上げられた言葉ではなく、途中で口をつぐんだり、不確定のものである。

メーテルリンクの「ペレアス」は、そうした人間の特徴を備えている。

 

ドビュッシーはペンで書いた楽譜を星空の次元に高めようと試みた。「音楽とは、自然界における不可視なものの、感情による置き換えである」と定義した。

  (この稿出典:スタンダード・オペラ鑑賞ブック[5] 音楽之友社=編)

  (写真:オペラガイド126選 成美堂出版)

 

素晴らしいオペラに 一期一会した気持ちだ。

このような機会をつかまなければ、一生ドビュッシーのオペラ作品にめぐり合わなかっただろう。