2007年07月26日

地域に暮らす・神社の神事と境内整備

風祭の拝礼7月20日(金)汁守神社で毎年恒例になっている「天王様(てんのうさま)」が行われ、敬虔な氏子が拝殿で礼拝を行った。その後、黒川公会堂に席を移し氏子の懇親会が開かれた。

懇親会では、汁守神社総代長の挨拶、会計役員の平成18年度収支報告と監事による監査報告が行われた。また黒川町内会長の挨拶と最近の町内会運営に関するトピックス等の説明があった。


また神社氏子新年会の時から話題になっていた境内整備・公衆便所改修等が議題になり、熱烈な審議が行われた。

(はるひ野を含む黒川地区の住民や黒川地区を観光で訪れるハイカー等が使う開かれた公衆便所が浄化槽方式であったので、これを川崎市への本下水へ流す方式に切り換えて、更に建物も新たに新築しようという計画。)

 

結論は、新たに建て替える公衆便所は汁守神社の氏子達が必要資金をすべて寄進することになった。

また本下水への切り換え工事に必要な資金のうち、半分は汁守神社の氏子が負担し、残りは黒川町内会が負担することで合意した。

 

新たに作られる汁守神社内の公衆便所は、今年の秋の例大祭が行われる9月30日(日)までに完了する計画だ。

 

わたしも氏子の一人として、「天王様」の神事と懇親会に参加していたが、汁守神社の氏子達の考え方がとても素敵だった。

とかく最近の自治会や町内会の運営を見ていると、自分の権利を主張し公の事柄に対しては非協力的な動き(金は出さない、勤労奉仕はしたくない)をするのが一般的であると思っていた。ところが今回の汁守神社境内整備に関わる公衆便所改修工事に必要な資金をどうするかという議題で、総代長から氏子に対して『最低限の寄進額の提示』をしたところ、多くの氏子達が『自分たちの心のふるさとである汁守神社のためならば、その数倍の寄進額を最低額にすべきである』と言う意見が圧倒的に多くあり、その意見を尊重して寄進を募ることになった。

 

黒川に住んでいる住民達がすべて汁守神社の氏子ではない。

公衆便所は汁守神社の氏子だけが利用するのでなく、はるひ野の住民や黒川を訪れた人たちが利用する公共的なものである。それにもかかわらず氏子達は建設費を総代長の提示額を数倍上回る金額を最低寄進額にしようと決議したのである。

 

汁守神社の氏子達は、すべてが裕福であるとは限らない。

先代、あるいは先先代は裕福であったかもしれないが、今は苦しい生活を余儀なくされている人もいる。それにもかかわらず汁守神社のため、黒川地区に住んでいる人のために喜んで寄進しようという心の広い考え方がわたしには嬉しい。当然完成した後の維持管理も氏子達が誰にも頼らずに行っていくことになる。

 

公衆便所だから役所に費用援助を申し出ようなどという話が誰からも出なかったことに地域住民の精神の健全性が現れていると考える。

 

このようにして黒川住民の中の汁守神社氏子が主体になって境内整備・公衆便所建て替えが決定した。新しい便所の運用については、近隣神社の境内にある公衆便所の運用実態を調査して決めることになっている。