2007年06月07日

日章旗に飾られた独・ライン川

ドイツ国旗安倍首相がドイツを訪れ、ハイリゲンダム(Heiligendamm)での第33回主要国首脳会議(サミット)に出席されている。

さてドイツ駐在員当時、日本から視察に訪れた会社幹部の接待で、ドイツを流れる大河「ライン川下り」をした。時は鳥が鳴き、花が咲き、風薫る5月初旬の爽やかな午前中。ライン下り観光船前部のデッキの上で、ドイツビールを飲みながらドイツ民謡に耳を傾けてご機嫌な幹部だった。


それもそのはずである。

あの広いライン川の河畔には、なんと日章旗が掲げられていてたなびいているのだ。

寄港地の港にも、これでもかと日章旗のオンパレード。

 

日章旗船が下って 伝説の金髪の乙女のいるあの有名な「ローレライ」の突き出た陸地に近づいた。

船ではローレライの曲が流されている。

ローレライの岩山の頂上には、これも驚くなかれ巨大な日章旗がポールに掲げられ、風にたなびいているのだ。

 

駐在員のわたしにも事情が呑み込めない。

日本から来た幹部はわたしに「何故だ?」と聞いてきたが、事情が分からないわたしは、

「はるばる日本から見えた大幹部を、ドイツ国挙げて歓迎しているのだ。」と、まったく無責任なことを言ってお茶を濁していた。

 

ライン川これまで何回もライン下りをした自分もこのようなことは、初めての経験だった。

 

日本人が外国で、日章旗を見て悪い気持ちになるわけがない。

 

それもヨーロッパを代表する大河、ドイツを代表する大河のライン川で、しかもスポットではなく川に沿って延々と日章旗が上がっているのだから。

 

 

ライン下りを終え、日本からの幹部をドイツの自宅に迎えてわたしが作った「手打うどん」と ドイツの山で採った「わらびのお浸し」を出して接待している時だった。

何気なく見ていたドイツのTVニュースで、見かけた風景が映し出された。

 

それは日章旗に飾られたライン川を下る日本の当時の中曽根首相とドイツのコール首相だった。

 

事情が初めて分かった。

その日の午前中にわたし達はライン川下りをしたが、その日の午後に同じコースを日独の首相が下ったのである。

ドイツが日本からの中曽根首相を歓迎するために、あの長いライン川沿いに日章旗が掲げられていたのだ。

日章旗で飾られたライン川の船下りをした日本人は、珍しいのではないか!

 

しかしとても気持ちの良いライン下りをしたものだ。

幹部の喜びようは、凄まじかった。

帰国後は当分の間、その話で盛り上がったと思う。

わたしの社内の格は、別に盛り上がらなかった記憶がある