2007年05月01日

歌劇「サロメ(Salome)」

女性「やっぱり女の人の本性は怖いものね!」

これが今回鑑賞した「歌劇サロメ(Salome)」を見終わったときの、女性の口から出てきた第一声だった。女性が本当に好きになった男の人のことを、思い焦がれて自分に関心を向けさせ、どうしても叶わぬとなれば考えられない手段をとってでも自分の思いを達成しようとする行動に出るということを示しているのだとわたしは考えた。


ドイツの作曲家 リヒャルト・シュトラウスの作品で、今回鑑賞した歌劇はドイツ語が使われていた。1幕で全演奏時間101分(1時間41分)と比較的短い作品だが、主人公の美女”サロメ“が一途に恋焦がれた預言者”ヨカナーン”の気持ちを自分に向けようとする展開なので、素人のわたしにもとてもわかりやすい歌劇だった。

 

主な出演者

ヘロデ王:ハンス・バイラー(T)<ユダヤの領主、妻は兄弟の妻だった>

ヘロディアス:アストリッド・ヴァルナイ(MS)<領主の妻>

サロメテレサ・ストラータスS)<ヘロディアスの娘、美女、16歳の処女>

ヨカナーン:ベルント・ヴァイクル(B)<預言者・洗礼者ヨハネ>

ナラポート:ヴェイエスワフ・オフマン(T)<若い衛兵隊長>

ヘロディアスの小姓:ハンナ・シュヴァルツ(A

 

作曲:リヒャルト・シュトラウス

原本:オスカー・ワイルド

指揮:カール・ベーム

演出:ゲッツ・フリードリヒ

演奏:ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団・合唱団

収録:1974年 映画版

 

事前の予習で、サロメの<七つのヴェールの踊り>と<長いモノローグ>が最大の見所であると知っていた。

ヘロデ王がサロメに『サロメが要求するものはすべて叶える』と言う条件でサロメに「踊りを舞って欲しい」と強く求める。この条件を呑んでサロメは、裸身の上に7枚のヴェールをまとって、官能的な音楽に合わせて踊る。進行に合わせてヴェールを1枚づつ脱ぎ捨てていき、最後の1枚も取り払って美しい16歳の処女の裸体をさらしてヘロデ王を見やる。

 

踊ったサロメがヘロデ王に求めたものは、自分が恋焦がれても振り向いてもくれなかった預言者ヨカナーンの生首だった。これを強く拒否していたヘロデ王だったが最後にサロメとの約束に応じて、首切り役人がヨカナーンの首を落とし銀の皿に乗せて運んでくる。

 

この血の滴る首にサロメは、自らの唇を合わせ恍惚としておよそ12分間の間、モノローグを歌う。恍惚とした表情のサロメは、狂乱に陥っていることを示している。

 

サロメ役に求められるソプラノオペラ歌手の資質は、もっとも太く強い声を持ち(ドラマティック・ソプラノ)、激しいバレエを踊り最後に一糸纏わぬ裸体になるという過激な演出、アリアを歌うことができ、しかも可憐な美しい少女の風貌をもつことだ。至難の業を求められるサロメ役。それを見事に演じきったサロメ役のテレサ・ストラータスに拍手を送りたい。

 

1幕の間、切れ目なく流れるリヒャルト・シュトラウスの音楽、激しく劇的に変化するステージと緊張感。1時間41分の間、始めから終わりまで見どころ聴きどころの連続。しかも女性の好きな男性を手に入れたいという一心の物語りと分かりやすい内容で、あっという間に時間が過ぎてフィナーレを迎える。気を抜くことができない過激な歌劇だ。