2007年04月12日

かあさんの歌と草原情歌

中国国旗中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相が来日された。

色々な見方があるだろうが、わたしは中国の国と雰囲気が好きだ。格好をつけずに、ズック靴を履いて錆びた自転車で中国国内を旅行したい。背広やネクタイ、食事のマナーが必要な国はもう結構だ。


現役時代、中国の国営会社に製品のアフターサービスをお願いしていた。中国社員給与の引き下げ交渉役(ベースダウン)を買ってでて、北京へ出張したことがある。

 

ある戦術で半年前から手紙で地ならしをした後に出張し、中国国営会社の副総経理(日本の副社長相当)と想定した問答どおりに交渉して当方の希望通りに決着。仕事が終わった時間は夕方の6時を過ぎていた。

 

あらかじめ予約しておいた北京ダックの専門店へ、関係者一同を会社の金で招待して宴会をはった。中国国営会社の幹部社員も招待した。彼らもめったに北京ダックを口にする機会は無いので喜ばれた。

 

宴がたけなわになった時、中国国営会社の女子社員が日本語で「かあさんの歌」を歌うので一緒にうたって欲しいという。

 

万里の長城宴会に同席していた日本人は、わたしと北京支店長の二人のみ。若かったわたしは、「OK」と答え、アルコール度数53%の貴州茅台酒(マオタイ酒)の勢いもあってデユエットし始めた。なんと彼女は、一番を歌いおわり三番までの歌詞をきちんとした日本語で歌い上げた。びっくりした。恥ずかしながら自分は一番だけ知っていたが、二・三番の歌詞は知らなかった。

 

歌い終わった彼女はわたしに、歌を唄えと迫ってきた。酒の勢いもあったがこの際、自分の中国語を確かめようと習ったことのある中国の民謡「草原情歌」という中国の乙女の歌を中国語で唄った。

 

「ツアイナー ヤオ ユアンティ ティーファン・ヨウメイ ハオ クーニャーン・・・!」

 

賑やかだった宴席が静かになり、わたしの歌を静かに聴いてくれた。

何とか唄いきることができた。厳しいやり取りがあった仕事のあとの宴席が、急に和やかになった。

 

定時退社を実行し、会社帰りに中国語を習っておいて本当に良かったとそのときに思った