2007年04月18日

歌劇「トゥランドット(Turandot)」

オペラ歌手トリノ冬季オリンピックのフィギァスケートで優勝した荒川静香さんのBGMに使われて一躍有名になった歌劇「トゥランドット(Turandot)」の『誰も寝てはならない』というメロディー。

機会があってその「トゥランドット」という名の歌劇を鑑賞した。


荒川2作曲者は生涯に12曲のオペラを仕上たジャコモ・プッチーニの最後の作品。

 

1920年春から順調に作曲が進められたが、秋以降、喉頭がんを患い作曲も停滞、第三幕のリューの自害まで作り上げたところで他界(1924年2月)。その後、息子トニオの依頼でフランコ・アルファーノが1926年に完成させたが、初演者のA・トスカニーニはリューの自害で演奏を切上げ、以後、定着まで50年近くを要した。

 

今回鑑賞した作品は2001年にルチアーノ・ベリオにより補作されたもの。以後、好評が続き、2002年ザルツブルグ音楽祭での公演をライブ収録されたもの。

 

(写真:「トゥランドット」の曲にのって荒川静香さんの”イナバウアー”。ライブドアスポーツより

 

主な出演者

カラフ;ヨハン・ポータ(T)(ダッタンの王子、3幕まで名を明かさない)

トゥランドット;ガブリエーレ・シュナウト(S)(中国の皇女、絶世の美女だが冷血極まりない)

ティムール:パータ・ブルチュラーゼ(B)(退位したダッタン国王、今は放浪の身)

リュー;クリスティーナ・ガイヤル=ドマス(S(ティムールの若い女奴隷、カラフに思いを寄せている)

アルトゥム;ロバート・ティアー(B(中国の皇帝、トゥランドットの父)

ピン;ボアズ・ダニエル(Br(中国の大臣)

ポン;ヴィアンチェンテ・オンブエナ(T(中国の大臣)

パン;スティーヴ・ダヴィスリム(T(中国の大臣)

役人

 

指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ(ロシアの鬼才、キーロフ歌劇場の指揮者)

演出:ディヴィッド・パウントニー

演奏:ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団

合唱:ウイーン国立歌劇場合唱団、テルツ少年合唱団

収録:2002年8月 ザルツブルグ祝祭劇場(大ホール)(ライブ収録、約126分)

 

プッチーニ最後の総決算的作品。中国の美しい姫に魅せられた異国の王子が、姫の難解な謎かけを解いて、最後には姫の真の愛を得る(つまり「愛は必ず勝つ」という結末)と言うおとぎ話風の筋書きだが、プッチーニが付した色彩的で不思議な響きを持った音楽により、壮大なスケールの一大絵巻となった。

    (この項:音楽之友社 スタンダード・オペラ鑑賞ブックより引用)

 

期待をもって鑑賞に望んだが、このわたしが鑑賞した作品はストーリーの展開にのれず、恥ずかしいが期待が外れた。壮麗な期待感を抱かせる背景ではなく、かといって中国をイメージする背景でもなく、現代的なメカニックな背景、出演者の衣装・化粧も予想を裏切るようなもので、心から馴染めなかった。

 

プッチーニは中国訪問の経験もなくイメージで作ったのだから止むを得ないかもしれないが、馴染めない。異国情緒・異国趣味があったというプッチーニの作品では、日本を題材にした歌劇「蝶々夫人」も有名だ。

 

トゥランドット姫が中国の絶世の美女であると言うガイドブックの知識で鑑賞したが、出演した女性はとても体格がよく、イメージから外れていたし、主演の一人カラフも格好の良い美男しかと思いきや、恰幅のよい大男でこれも期待はずれであった。

 

わたしのオペラ鑑賞は、耳から聞こえる作曲者の全編を流れる心意気を鑑賞するというのではないようだ。素人の浅はかさで、ステージの俳優の外見を問題にしているのだから。

 

そうはいっても、オペラは素晴らしい。

あっという間に時間が過ぎていく。

最初から最後まで約2時間、わたしのハートの中に音楽が絶え間なく流れ込んでくるのは心地よいものだ。

 

(記事参考:吉村直規氏の資料)

冬季トリノオリンピック イナバウアーの荒川静香選手