2007年03月25日

歌劇「ローエングリン」(Lohengrin)

歌うおじさんアニメドイツの作曲家 リヒャルト・ワーグナーが1848年に完成させた「ドイツ・ロマン派オペラ」の傑作「ローエングリン」 (Lohengrin

作曲と台本もリヒャルト・ワーグナーで、これぞドイツ的という雰囲気がぴったりの全3幕、演奏時間3時間46分という超大作。舞台は中世(10世紀中頃)のドイツブラバンド。


主な出演者

  ローエングリン(白鳥の騎士):プラシド・ドミンゴ(T)

  エルザ(前ブラバンド大公の娘):シェリル・ステューダー(S)

  テルラムント(ブラバンドの貴族):ハートゥムート・ウエルカー(Br)

  オルトルート(テルラムントの妻、魔法使い):ドゥーニャ・ヴェイソヴィッチ(Ms)

  ハインリッヒ(ドイツ国王):ロバート・ロイド(B)

 

指揮:クラウディオ・アバド

演出:ヴォルフガング・ウエーバー

演奏:ウイーン国立歌劇場管弦楽団

合唱:ウイーン国立歌劇場合唱団

 

収録:1990年公演 ウイーン国立劇場合唱団

 

このローエングリンは、1年前に「メトロポリタン劇場(ニューヨーク)」で収録されたものを鑑賞したことがあるので、今回で2回目だ。

 

今回はローエングリンをあの「プラシド・ドミンゴ」が演じた作品で、前回のアメリカ風のオペラではなく、オーストリア・ウイーン国立歌劇場というドイツ語圏で演じられたドイツ語によるドイツオペラであり、ドイツの匂いがプンプンするドイツ人の生真面目さを見る思いが強いオペラだ。

 

なにしろ演奏時間が4時間弱という超大作。

最初から最後まであのウイーン国立歌劇場管弦楽団が奏でるワーグナーの曲で、ステージが進行するという贅沢さ。

 

感心するのは指揮者のクライディオ・アバドだ。

4時間弱のオペラの演奏を指揮するというのだから、しかもやり直しのない観客の前のオーケストラボックスの中で、譜面を頭に入れて楽団員の演奏を耳で確認しながら行うという業は素晴らしい。さすがに人気のあるプロのなせる業だ。

 

考えようによっては、オペラの舞台と同時にオーケストラの演奏を聞くだけでも価値があると思う。

 

今から160年前に初演された「ローエングリン」。

やや魔法使いとか滑稽な所もあるが、見る大人の現代人を厭きさせない、力強い・テンポが速いワーグナーのオペラを楽しむことが出来た。時代のフィルターを経てきた古典は、素晴らしいと実感させられる。

 

認知症初期段階だと思っている自分は、このようなオペラを見ることによって、ステージの俳優の動きを眼で追い、耳でオーケストラの演奏とオペラ歌手の歌声を聞き、脳の中ではそれらを自分の尺度で考え理解し構築する。ステージの動きに合わせ、歌手の心の動きに感情移入するという作業が行われるので、呆け防止には最適だと、ふと考えた。

 

電話も鳴らない、宅配便のベルも聞こえない、子供の泣き声も聞こえないという視聴覚室で、とても充実した大人の時間を過ごすことができた。オペラは素晴らしい芸術だ。

 

<追補>

ノイシュバンシュタインドイツの南、オーストリアの国境近くにある有名なお城、日本人の観光客にも人気のある「ノイシュヴァンシュタイン城」。ドイツの「ルートヴィヒ二世」が建てた城。

ルートヴィッヒ二世はワーグナーのパトロンで、ノイシュヴァンシュタイン城の中には、白鳥の間があり、壁画のモチーフはこの「ローエングリン」だとか。

 

ノイシュヴァンシュタイン城へ訪れる機会がありましたら、しかとご覧ください。

 

蛇足ながら、「ノイシュヴァンシュタイン城」と発音する所を「ノイシュバインシュタイン」と発音するとドイツ人に笑われるのでご注意を。

この意味は、白鳥ではなく「新しい豚の城」。(わたしもよくドイツ人に笑われたことがある。)

 

(参考:白鳥の騎士、ローエングリン