2006年12月01日

勿忘菫(わすれなすみれ)

すみれ淡い思い出

 

12月の誕生色は、小雪が舞う季節の藍白色(あいはくしょく)ということになっています。菫(すみれ)は早春に咲く花ですが、返り咲きすることが多く、十二月に花を咲かせることもめずらしくないそうです。


可愛らしくうつむいた花が、この季節に、遠慮がちに返り咲く姿はいじらしいですね。

 

すみれ」の語源は、二説あって、まず、「墨入れ(すみいれ)」が変化したという説。

花が昔の墨入れに似ているからだそうです。

 

もうひとつは、「摘み(つみ)入れ草」からきたという説。

摘む花といえば、菫(すみれ)が代表的な花だったそうです。それだけ親しまれてきた花なのですね。

 

返り咲きの菫(すみれ)が小雪の中で揺れる風景。

「忘れないで」とささやきかける、今年一年の淡い思い出のようです。

 

(出典:「美人の日本語」山下景子著 幻冬舎)

 (写真:季節の花 300