2006年10月15日

珍料理(中国・四川省)

中国国旗中国 四川省にサービス拠点を開設するための下調べに出張した時の昔の想い出。

四川省放送局の幹部が、四川料理で接待してくれるということで市内のレストランに案内された。お馴染みの円卓を中国の人と囲んで食事をしていた。メニューはすべてお任せだった。次々に円卓へ料理が運ばれてくる。その都度、幹部がわたしの取皿に料理を取って載せてくれる。


あるとき、円卓を囲んでいた中国人の目が一斉にわたしの箸の動きに注目していることが分かった。取皿の上には直径2−3cmくらいの輪切りにされた肴のようなものが二つ載っていた。よく煮込んであるため色は黒っぽい。

 

食事中わたしはピンときた。これは蛇(へび)を煮込んだもに違いないと。

 

日本国が発行したパスポートを持っているわたしに、中国人はわたしの命にかかわるようなことはしないはずだと思った。

わたしとわたしの属する会社のために中国人が心をこめて接待しているのだ、出されたものは食べなければ失礼だ、と思い、何も聞かずに、中国人が凝視する中を思い切ってその円筒形の料理を食べた。骨があった。

 

食べ終わると中国の人がわたしに「美味しかったか?それは何だったのか知っているか?」と聞いてきた。

わたしは『うまれて初めて食べた食感の料理だったが、何かは分からない。』と答えると、にこにこしながら「それは四川省へはじめて見えた人を歓迎する蛇料理だ。お前は疑いも無く食べてくれたので、わたし達のよき友人である。」と、座が一気に和やかになった。わたしの頭の中は、今回の出張のミッションを成功させるためであるという認識が強かったので、気持ち悪い蛇料理だと知っていたが、にこにこして食べたのだ。

 

強い中国の酒を飲んで、気分が朦朧としてきた。

すると中国人の幹部が今度は、「親しい友人となったお前に食べさせたい特別な料理がある。わたしについてきてほしい」と言って席をたったのでついて行った。レストランの裏庭へ連れて行かれた。そこには木箱に入った生きている猿が両脇に十個近く並んでいた。

 

さあ、気に入った猿がいたらそれをご馳走しよう。どれがいいか?』と聞かれた。

 

木箱に入れられた猿をよく見ると、どの猿の眼も、自分が置かれている立場、自分は何故木箱に入れられてレストランの裏庭にいるのかをよく承知しているように見られた。そして自分だけは、わたしから指名しないで欲しいというオーラのようなものが強く感じられた。

 

わたしとDNAが殆ど変わらない中国の猿達、猿の言葉は理解できないが、わたしが指名することにより猿の運命が決まると言うことを考えると、強い酒で頭が朦朧としていたが、中国人の幹部に「今日はわたしを歓迎する蛇料理をご馳走していただいたので感謝している。猿の料理は、次回にお願いしたいので今日はお気持ちだけで結構である」と答えてレストランの席に戻って、宴会の続きをした。

 

わたしのブログ麻生区 はるひ野・若葉台・黒川の生活事典』のハンドルネームは「やまざる」。

あれ以来、猿の料理を口にしたことはないし、今後も無いだろう。