2006年08月10日

黒川の酪農家

乳牛2頭かっての黒川では10軒にも及ぶ農家が自宅で乳牛を飼い牛乳を生産する酪農家がありましたが、現在はわずか1軒になってしまいました。

人口130万人の川崎市でも現在の酪農家は、たった6軒と無きに等しい産業になってしまいました。


理由はいろいろありますが、生きている動物を相手にする職業だけに休みが取れない厳しい労働時間と都市化が進んできた黒川で糞尿等の悪臭が周辺住民に受け入れられない環境、大規模な酪農家の出現による大量生産の結果の販売価格の著しい低下などがあげられます。

 

黒川の市川国光さんの家では、昭和35年に3頭の乳牛で始めた酪農事業は現在40頭もの乳牛を飼育しています。最盛期には46頭もいたそうです。

 

乳牛1頭一日2回の搾乳(さくにゅう)は、朝は5時半から、午後は4時半からで休むわけにはいかず、他人にも任せられず、これで一日の予定が決まってしまいます。

生き物ですから牛の食料となる餌も定期的に与え、牛舎の糞尿の処理も休みを与えてくれません。

時間に追われる毎日が、創業時から今まで続いています。

 

生産された牛乳は毎日出荷します。出荷先は、私の好きな「メグミルク」(昔の雪印牛乳)です。

 

最近の食にたいするユーザーの厳しい意見と牛乳会社の厳しい品質基準が現存していて、それに合致するような牛乳を生産させるべく、生き物の乳牛の体調管理をするのがむずかしいとのことです。牛だって生き物ですから感情があるでしょう。感情が安定している健康な牛から、良い乳が出るでしょう。

 

年を重ねてくると酪農家は、きつい職業であることは間違いありません。酪農家としての後継者問題もありますが、元気なうちに自分の自由に出来る時間を自由に使う生活をしたいという市川さんのお話に同情の気持ちが湧いてくると同時に、心からご苦労様ですという気持ちも湧いてきました。

 

市川さんにはわたし個人が大変お世話になっています。市川さんが生産する牛の糞を材料にした牛糞を分けていただき、畑の野菜の栄養素にしているからです。牛の糞の「地産地消」と言えなくもありません。