2006年07月31日

認知症高齢者の声

日本で初めての老人ホームといわれている特別養護老人ホーム「浜松十字の園」(開設昭和36年)の職員が代弁した「認知症高齢者の声」をご紹介します。老いは誰もが避けて通れない道、老いに伴い認知症も待っている老後。あなたのご両親も、そしてあなたも、最近は働き盛りのシニアも認知症に苦しんでいる。


『私たちからのお願い!!こんな気持ちをわかってください』

 

住み慣れた場所とは程遠い場所。知っている顔のないところでの生活。

 「ここが部屋ですよ」と言うのに、私以外の人が寝ている。

 

目的がなくて歩き回っているように見えるかもしれませんが、違うのです。

 ただ自分の居場所がなくて、自分がどこにいるのかわからないのです。

  ただ不安で、不安で、イライラしてしまうことがあるのです。

   どこかに行きたくてもその術がわからず、人間関係もうまくいきません。

 

ご飯を食べたくない日もあるし、眠れない日もある。

 自分の前にあるものが気になって、手にとって見たくなるときもある。

  上手く歩けなくても、車椅子でも、少し動きたいときもある。

そんな時は、じっとそばで見ていて欲しい。

 決して大きな声で「何やっているの!!」とか「だめー!!」とか、

  わたしの気持ちも知らないで言わないでください。

 

私にも青春時代があり、輝いていた時がありました。

 私の自信や自慢につながるような努力や苦労がありました。

  そんな時代があったことも知らず、今の私だけを見ないでください。

 

家族が面会に来ても名前を忘れてしまっていたり、

 顔がわからなかったりする時があります。

  そんな時は、そっと耳元で名前を教えてください。

忘れてしまっていることを知っているのに、

 「この方どなた??」などと意地悪をするのは止めてください。

 

どうかお願いです。私の歩んできた道、性格、趣味、病気、症状、

 いろいろな事、いろいろな私を理解してください。

  「こうして欲しい」とお願いすることを、ワガママと思わないでください。

   私は、買い物も一人でできないのですから。

 

医療スタッフ・ケアスタッフ・家族、私を支えてくれる人たちが、

 同じ意識で、同じ方向を向いてケアしてくれると、とても幸せです。

幸せと感じたら、

 徘徊(はいかい)も妄想も幻覚も不安もみんな消えて、イライラすることもなくなり、

  皆さんを困らせることが少なくなるかもしれません。

 

   ただ忘れないでください。私も 同じ 人間です!!

 

(出典:「麻生区の高齢者施設を訪ねて」柿生地区社会福祉協議会 高齢者福祉委員会

    高齢者福祉委員会 「浜松十字の園」視察研修報告 平成17年度報告書)