2006年06月19日

歌劇 「リゴレット(Rigoletto)」

イタリアのヴェルディの歌劇「リゴレット(Rigoletto)」を鑑賞した。いつものとおり、見終わった後も頭の中が異常に興奮しており気持ちが落ち着かない。頭を冷やす意味で、このブログを書いている。


通常の映画や小説を鑑賞したり読んだりした後も、ストーリーに自分が入っていって余韻が残るが、歌劇を見た後の興奮はその比ではない。わたしは首の後ろが熱くなり、頭が重い感じがなかなか消えない。鑑賞後、食事をしてお風呂に入り、既に6時間経過しても同じ状態で興奮している。

 

ステージで演じる登場人物は「リゴレット」の場合、脇役も入れて13人であり、主要部分はたった5人で2時間のストーリーが展開して行く。登場人物を演じるオペラ歌手の全身全霊をかけた歌声、表情、動作で物語が進行して行く。

アニメ王様のオペラ特別派手なアクションがあるわけでもなく、特別美男子・美女が出ているわけでもない。しかしステージで演じられる物語を見ていると、不思議なことにいつの間にかストーリーに引き込まれていく。気がつくと自分は歌劇の中の登場人物になっていて、登場人物の心の動きに合わせて呼吸している自分に気がつく。ステージから目が離せなくなってしまい自分の感情は、登場人物のそのときの感情になりきってしまう。

 

音楽的な素養のない自分であるが、世にも冠たる世界のヴェルディの曲にのせて、登場人物の心の動きが語られていることも見逃せない大きな要素だと思う。

 

歌劇「リゴレット」の使っている言語は、当然イタリア語。マントヴァ公爵リゴレット(マントヴァ公爵のお付道化師)の娘 ジルダが密会した後、別れるときには「アディオス」(さようなら)が何回となく繰り返えされていたし、ジルダがマントヴァ公爵から言葉をかけられると「シー」(はい)という返事を聞き、あーっ、イタリア語で演じられているのだなと思った。歌われているイタリア語は理解できないが。

 

登場人物が日本語でなく理解の出来ないイタリア語であっても、心を持った大人の男と女。出会い、恋心を抱き、口説き、女性ジルダの心の中に、お相手・マントヴァ公爵がお遊びの気持ちであっても恋心が芽生え、いつしか自分の命を懸けても相手を守ろうと変わっていく様をみて、国が違い、言葉が違い、年代が違っても、心の動き・心の働きは少しも変わっていないことに気がつく。

だからこそ今から155年前の北イタリア・マントヴァを舞台にしたイタリア語のオペラ「リゴレット」であっても、自分の頭のささやかな脳みそがフル回転して、登場人物になりきってしまうのだろう。

 

オペラの楽しみの一つは、今まで何気なく耳にしていたメロディが実は、有名な歌劇の中で使われていたものだと気がつくことがある。「リゴレット」も、第三幕でマントヴァ公爵が歌うあまりにも名高い「女心の歌」がそれだ。「風に吹かれる羽のように、女は変わりやすいものだ・・・」と歌うメロディにあわせて指を上下に振って曲に合わせている自分があった。

 

それにしても「リゴレット」に登場する女性たち、リゴレットの娘・ジルダ、刺客スパラフチーレの妹・マッダレーナの心の動き・心の働きというのは、とてもストレートであり、心の中に場所を得た男のことをあれほど素直に、命を懸けてまでまもりぬこうという純潔さに、心が動かされる。お相手がおとこたらしのマントヴァ公爵であることを承知していても。

 

自分の心の動きを、相手に素直にあらわせないもどかしさが自分の弱点か!

 

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リゴレット」の主な出演者

マントヴァ公爵(マントヴァ地方の領主):ルチアーノ・パヴァロッティー(T

                (1935年、イタリア モデーナ生まれ)

リゴレット (公爵付の道化師):インクヴァール・ヴィクセル(Br

              (1931年スウェーデンルレオ生まれ)

ジルダ(リゴレットの娘):エディタ・グロベローヴァ(S

            (1943年、チェコスロバキア プラティスラヴァ生まれ)

スパラフチーレ(リゴレットに雇われた刺客):フェルッチョ・フラルネット(B

 マッダレーナスパラフチーレの妹):ヴィクトリア・ヴェルガーラ(Ms

 

指揮:リッカルド・シャイー

演出:ジャン・ピエール・ポネル

演奏:ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団

合唱:ウイーン国立歌劇場合唱団

収録:1982年 イタリア・マントヴァ

 

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また歌劇「リゴレット」をご一緒に鑑賞した若いご婦人の感想をご紹介します。とても素直に率直に心の動きを文章にされておられますので、ご覧下さい。

 

マントヴァ公爵の艶やかなテノールは、あまりにも甘美で、こんなわたしでもすっかり参ってしまいました。あんなに不誠実で、誰にでも同じように愛を唄い 女を軽んじているような人に、なぜ女は弱いのでしょうね、、、。

あんなふうに愛をささやかれたら誰だって、という魅力を十二分に表現できるルチアーノ・パヴァロッティー(マントヴァ公爵を演じたオペラ歌手)という人は、やはりすばらしい才能の人なのでしょうね。

 

歌うおじさんアニメまた、身代わりになって死ぬ、それほどの覚悟をさせる人に出逢えたジルダは、女としてはうらやましいといえましょう。彼女はその思いの絶頂で果てることができたのですから、幸せであったと思います。

 

でも、清純すぎる、単純すぎる。

 

わたしが身の丈で感情移入してしまったのは、刺客の妹、マッダレーナでした。

仕事のため、惑わし惹きつけるつもりが、魅力的な公爵を生かしたいと思ってしまう。契約違反ですよね。でも、恋ってそんな計算違いなところから生まれたり、究極には自分勝手なところが露呈されたりしませんか?生き延びた公爵と彼女の間に恋愛関係が長く続くとは思えませんが、それでも、彼女は望みを貫き、やはり満足感を味わったはず。女は「こう」と思うと、揺らがず、結果を恐れず貫く性質の生き物なのかもしれません。

 

鑑賞する前とその後で、感想が異なったのが自分で愉快でした。

 

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  歌劇 「薔薇の騎士」

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  歌劇 「魔笛」  

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  歌劇 「トラヴィアータ」(椿姫) 

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  歌劇 「白鳥の騎士:ローエングリン」

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