2006年04月27日

柿生発電所 (川崎・黒川)

発電所全景わたし達の街 黒川には なんと柿生発電所という名の水力発電所があり、毎日せっせと電気を起こしているということをご存知ですか?

地球に負荷をかけることもなく、環境に優しい、かつ京都議定書(欄外参考)の日本政府の約束事項である二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素等の削減に役立っている可愛らしいミニ発電所です。


場所は、黒川の上(かみ)農業振興地域脇(川崎市麻生区黒川字西谷1544ー2)にあります。

 

神奈川県が所有する水力発電所は、全部で12箇所、発電機の台数は17台、年間可能発電電力量は、およそ743,620,000KWHです。この中の一つの水力発電所が、柿生発電所です。

 



発電所アップ
何故ダムもない黒川に水力発電所なのか』ということですが、これは川崎市民の飲み水である水道水が、津久井分水地(相模湖)から地中の導水路(隧道管)を経て、17.4km運ばれて、当地で12.2mの落差があることを利用して水力発電をしているのです。水路式発電所です。発電に使用された水は、一滴も無駄にせずに、そのまま長沢浄水場に運ばれて、市民の水道水となります。

 



川崎市
水道局の隧道管が昭和15年度から使われてきたため、あちこちにほころびが出来て漏水も無視できなくなってきたので、川崎市では隧道管柿生発電所水車の改修・耐震化事業を行ってきました。また昭和29年に完成した導水路を使った黒川発電所(後に柿生発電所と改称)が昭和37年8月11日に発電を開始し、いままで営業運転が行われてきました。昭和51年2月1日から柿生発電所は、城山発電所からの集中監視制御が開始。昭和62年4月1日に城山にある「発電総合制御所」からの遠隔制御運転となりました。

建設と運転から長時間が経過したため、発電設備とともに発電用導水路も経年変化には耐えられず、川崎市水道局の隧道管の改修・耐震化にあわせて、柿生発電所の改修工事(リニューアル工事)が行われました。

 

すなわち平成16年度から17年度にかけて、神奈川県企業庁が柿生発電所建物の建て替えと発電設備の改修を行い、設備がこの平成18年3月末に一新されました。

 

発電のための水を運ぶ隧道管は川崎市の管理、その水を発電機に導く導水路と発電設備は神奈川県がそれぞれ管理しています。

 

発電した電気は、発電所内の自家消費分を除き、すべてを東京電力に売電しています。因みに発電量を金額に試算してみると、20円/KWと仮定すれば、一日で326,400円、1年間でなんと1億2千万円(最大)となり、侮れない稼ぎをしていることになります。 

 

改修が済んだ柿生発電所は、以前と比べて周辺の環境にそぐわない無機質なコンクリートの塊、コンクリートのお化けに変質してしまったことは、黒川に住むわたし達としては、大変嘆かわしいと思います。

 

緑に囲まれた発電所改修前は、土手斜面には芝生が植えられ、敷地内は土のままで つつじ等の植栽があり、みどり豊かな周辺に考慮した発電所でしたが、改修後は敷地内と建物のすべてがコンクリートというのはとても寂しく感じます。ちなみに発電所を囲む周囲は、地元の方がみどりを保全し努力をしているのですが。

 


 

柿生発電所看板 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

神奈川県企業庁発表の発電所データは下記の通り。

発電所型式    水路式

発電所運用形態  流込式

最大出力     680KW

最大使用水量   毎秒6.94立方メートル

有効落差     12.2メートル

水車       横軸プロペラ

発電機      横軸三相誘導

台数       1台

回転数      毎分 500回転

運転開始     昭和37年8月11日

 

<発電所の追想>

わたしが子どものころ、友達に誘われてこの柿生発電所へ魚釣りに何回か行ったことがある。勿論立ち入り禁止の金網を飛び越えての不法侵入による不法な魚釣りだ。発電機に供給する前の導水路の部分に、幅が5cmぐらいのグレーティング部分があり、そこから釣り糸を垂れた。グレーティングの下には、相模湖から流れてきた30cm前後の大きな魚がうようよしている。垂らした釣り針に、すぐに魚がづっしりと掛かり、引き上げようとするが、なにせ5cmの幅しかない隙間を大きな魚が通るわけがなく、悔しい思いをしたことが今も忘れられない。ここまで来ている魚は、黒川を流れる三沢川の鉛筆のような魚とは桁が違う大きさの魚だ。その魚たちは、数メートル先の導水路にいけば、落差12メートルの中をまっさかさまに落ちて、日立製水力発電機の毎分500回転するプロペラに激突し、悲しいかな昇天する運命にあったのだ。

 

(相模湖からはるばる17kmの旅をしてきた魚たちは、わたしに釣られて食べられるか、はたまた導水路に導かれて発電機のプロペラミキサーにかけられるか、ミキサーにかけられた魚ジュースの水は一体誰が飲むのか???・・・)

 

       ・・・これははるか昔の本当の話、今の話ではない・・・

 

<参考>

○神奈川県営電気事業 神奈川県企業庁水道電気局

○神奈川県営電気事業 施設概要図 神奈川県企業庁水道電気局

 

○京都議定書 

  出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia

 

京都議定書(きょうとぎていしょ、英: Kyoto Protocol)は、気候変動枠組条約に基づき、1997年に京都市の国立京都国際会館で開かれた地球温暖化防止京都会議(第3回気候変動枠組条約締約国会議、COP3)での議決した議定書である。正式名称は、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(英 Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)。

 

京都議定書で議決された内容

 

地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの一種である二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、HFCsPFCs、六フッ化硫黄について、先進国における削減率を1990年基準として各国別に定め、共同で約束期間内に目標を達成する。

 

2008年〜2012年の間に、日本マイナス6、アメリカマイナス7%、EUマイナス8%といった削減率を設定している。)

 

日本では、2002531日に国会で承認され、200464日国際連合に受諾書を寄託した。