2006年03月14日

春よ来い

 

春よ来い 早く来い

あるき始めた みいちゃんが

赤いはなおの ジョジョはいて

おんもへ出たいと 待っている

 

(作詞 相馬御風  作曲 弘田龍太郎)

 

三月になったのに、もう春はすぐそこまできているはずなのに、なかなか暖かくならない、そんなときに思わず口ずさんでしまう歌です。


 

桃の花1作詞の相馬御風(ぎょふう)は早稲田大学の出身で、母校の「都の西北」の作詞者でもあります。また、中山晋平の作曲で大ヒットした「カチューシャの唄」の作詞は、島村抱月と御風との共作によるものです。そして、このかわいい「春よ来い」のような童謡も作詞しているところに、御風の詩人としての才能の奥深さを感じます。

 

作曲の弘田龍太郎は、東京音楽学校(現・東京藝術大学)の教授を務めながら、「靴が鳴る」「叱られて」「浜千鳥」などの、いずれも永く後世に伝えていきたい歌の数々を作曲しました。

 

桃の花3「春よ来い」のヒロイン、かわいいみいちゃんのモデルは、御風の娘の文子といわれています。御風は、若くして東京を去り、故郷の新潟県糸魚川市に帰ったそうです。きっと、ふるさとで温かい家庭を築いたことでしょう。それと雪国新潟なればこそ春を待つもどかしさも強く感じたことでしょう。

 

まだ雪が降り積む外の風景を、出るに出られずじっと見つめる幼い娘に、お母さんがやさしく語りかけている、そんな情景が目に浮かぶようです。

 

(解説:NPO法人日本国際童謡館 大庭照子氏)

 

(出典:家の光 平成18年3月号「この歌をつたえていきたい・・・」)

(写真:季節の花300


Posted by tomato1111 at 00:00