2006年02月03日

麻生(あさお)の由来

わたし達の住む街、はるひ野・若葉台・黒川は、川崎市麻生区に属しています。

麻生区の麻生(あさお)という名前の由来は、何でしょうか?


 

区役所

 

 

そのヒントが、麻生区文化協会発行の機関紙 「からむし」 創刊号(昭和61年11月10日)にありました。

 

 

先ず「からむし」とは、「からむし」いう名の、虫なのでしょうか?

いや違います。虫ではありません。イラクサ科の多年生の植物のことです。

 

では「からむし」について、機関紙の記事から読むと、

 

<苧(からむし、チョ、ジョ と読む)、苧麻(ちょま)>

からむし1いらくさ科の多年草、茎を蒸して皮をはぎ取るから、この名ありという。

 

「多麻河に曝(さら)す手作り(てづくり)さらさらに

    何ぞこの児のここだ愛(かな)しき」(万葉集 巻十四 東歌)

 

とあるように古来からこの地に多く自生し、麻布の原料になった。

多麻、麻生の地名の由来もそこにある。

今でもわが麻生区の道の辺、畔(あぜ)、山のなだり等、各所に自生している。

現在、福島県昭和村で栽培された苧(からむし)は、新潟県小千谷(おじや)で越後上布として上等な布に織られている。

                        (箕輪敏行)

 

また「からむし」について別の資料では

 

からむし(マオ・苧麻(ちょま))

いらくさ科の高さ1−2メートルの多年草。

日本各地に生え、花は夏から秋に咲き、古来、茎を蒸し皮をはぎ布を作った。正倉院御物の布類の八割はからむしであるという。万葉集にも多く詠まれている。麻生でも各地に生え、細山香林寺の脱乾漆造の四天王像は地元のからむしを使ったもので、麻生の地名のいわれの一つとして重要な植物である。

 

「からむし」について 原色牧野植物大図鑑 (牧野冨太郎著)のなかでは、

 

カラムシ(マオ)[マオ属]

学名:Boehmeria nivea Gaud

からむし2日本各地、および中国、インド、マレーの温帯から暖帯に分布。原野にはえるが、畑に栽植される多年草。根茎は木質、地中枝をのばして繁殖。高さ1−2m。葉の裏面が白綿毛を密生。花は夏から秋、茎には強い繊維があり織物を作る。和名は皮のある茎(から)を蒸して皮をはぎ取ることにちなむ。名マオは真の麻の意味。漢名苧麻。種小名は雪のような意。

 

麻生区の名前の由来の一つが、麻布の原料になった「からむし」という いらくさ科の多年草にあったということが分かりました。

この「からむし」は、今はそう多くはありませんが 黒川にも自生しており、私は平成17年の10月に 上(かみ)地区の農道脇で見かけました。

 

最後に「からむし」と麻とは違うのでしょうか?

違います。麻にもたくさん種類がありますが、織物にもよく使われる大麻はクワ科の1年草の植物です。からむしは、多年草の植物で種類が違います。